1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

JAMSTECなど、小惑星リュウグウの試料から84種類の有機酸などの検出に成功

マイナビニュース / 2024年7月16日 6時55分

今回の中で特に重要な分子種として、ピルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、メバロン酸の4種類が挙げられた。分子進化の観点から、ピルビン酸はアミノ酸の前駆体であり、多くの代謝経路の出発点となる物質でもあり、クエン酸回路への源流を担う役割を持つことから、その発見は重要な意味を持つ。次のクエン酸は、生命にとって「エネルギー代謝」の中心的な機能性分子として知られ、その反応経路はクエン酸回路と呼ばれる。またリンゴ酸は、核酸塩基の前駆体として知られ、今回発見された尿素(ウレア)と反応すると、核酸塩基のウラシル(2023年にリュウグウ試料から発見された)が誕生する。このような分子進化の原材料の存在が、証明されたといえるとした。メバロン酸は、生命の膜のもとを作る原材料として重要な意味を持ち、同酸から脂質への経路などがある。

研究チームは、ジカルボン酸の1つであるマロン酸の「互変異性」による水質変成の分子履歴から、リュウグウは、かつて水に満ちた天体だった証拠を示したとする。これは、水分子が周辺に存在することで、不安定なエノール体を誘起する異性化反応の進行度が評価されたものである。

次に、リュウグウの2つのサンプリングサイトの軽元素存在度(C・H・N・O・S)とそれらの安定同位体組成と、可溶性有機物の物質科学的性状が規格化され、水-有機物-鉱物相互作用による化学進化の現場検証が総括された。これらの定性的かつ定量的な評価のベースライン規格は、NASAが地球帰還を成功させた炭素質小惑星ベンヌの比較考察に重要な役割を果たすことが考えられるとしている。

今回の成果は、太陽系における初生的な軽元素、そして有機分子はどのように存在していたのか、また、それが初期太陽系でどのように進化してきたのか、科学探究のヒントを与えてくれるという。地球や海、非生命的なプロセスの源流でもある分子進化を明らかにする上でも、重要な一次情報になるとした。

そして今回の成果の鍵の1つは、元素および分子レベルの先鋭的な分析技術と先進的な物質科学の相乗効果とした。このような技術基盤は、領域を超えた学術界への波及に限らず、性状未知サンプルの品質検定などの社会的な要請、革新的な研究開発を生み出す新しい知識の社会還元に貢献することが考えられるとしている。
(波留久泉)



この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください