筑波大、普段は眠っている骨格筋細胞が活動を開始するスイッチ分子を解明
マイナビニュース / 2024年7月16日 14時19分
次に、そのような再生遅延が起きる理由の解明が進められた。SMSCの増殖や分化が盛んな時期である損傷後7日目のDKOマウスの筋組織切片が調べられたところ、SMSCのマーカー「PAX7陽性細胞」が多い一方、骨格筋が分化したことを示すマーカー「MYOGENIN」が陽性となる細胞が有意に少なくなっていた。Dusp13とDusp27が欠損することで、SMSCが筋分化へと移行できない可能性を示唆する結果だという。そこで、野生型マウスおよびDKOマウスからSMSCをそれぞれ単離して培養が行われた。すると、野生型のSMSCは分化していくのに対し、DKOマウス由来のSMSCは増殖期にとどまり、筋分化移行が低下していたのである。
さらに詳細なメカニズムの探索として、MyoDノックインマウス由来のSMSCのうち、活性化・増殖したSMSC集団のみが単離され、シングルセルRNA-シークエンスが行われた。するとDusp13とDusp27は共に、MYOGENINを発現した細胞集団で発現することが判明。そこで、Dusp13が筋分化のスイッチを入れるきっかけとなるのかを検証するため、まだ筋分化スイッチが入っていない未分化で増殖中のSMSCに対し、Dusp13の過剰な発現が行われた。すると、MYOGENINを発現する細胞集団が現れることがわかった。
以上のことから、増殖中のSMSCはDUSP13とDUSP27の発現を介して、筋分化に関わる遺伝子プログラムを誘導している可能性が示唆されたとした。
今回の成果は、SMSCの大量増殖による培養肉開発などにも応用できる可能性があるとする。なお研究チームは今後、DUSP13とDUSP27がSMSC内でどのような分子と相互作用し、増殖中のSMSCを筋分化へと誘導するのかの解明を目指すとしている。
(波留久泉)
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