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産総研、土壌中の有害な水銀を現場で高感度に検出できる手法を開発

マイナビニュース / 2024年7月16日 18時18分

さらに、土壌検体から74個の溶出液が作製され、電気化学測定を繰り返すことで、土壌から生じる夾雑信号がデータ化された。その上で、土壌溶出液に水銀試薬を混合することで、水銀の影響がどのような形のピークとして二階微分後のデータに表れるのかが評価された。これにより、データ処理後の波形ピークの電圧と強度、半値幅と呼ばれるピークの太さの3つの特徴がパラメータ化され、各パラメータがある範囲に収まっていれば、水銀が含まれているといえることが判明。二階微分によるデータ処理と水銀ピークのパラメータ化の組み合わせにより確立された独自のデータ処理法によって信号が評価され、夾雑物が含まれる土や砂から作製された検体中からも微量な水銀ピークを検出することに成功したという。

なお、この手法は試料に0.5ppb以上の水銀が含まれているかどうかのみを評価するため、事前に検量線を作成する作業は不要だ。さらに、水銀が検出できなくなる限界の希釈濃度を確認できれば、そこから元の検体の水銀濃度を計算により求めることができるという。

また電極には、産総研で開発した、反応性が高い「金ナノ粒子修飾ホウ素ドープダイヤモンド電極」が用いられている(均一な作製方法も確立済み)。しかし、同電極の金ナノ粒子は、何度も水銀の測定をしていくと、一部が脱離してしまい、信号強度が低下するという課題があったとする。ところが今回の評価法は、電極の消耗による影響も低減できることも確認されたとした。実際に、消耗具合が異なる10本の同電極に対し同条件での水銀含有試料の測定が実施されたところ、電気化学測定のデータとしては電極状態に依存して信号強度の違いが大きく表れたが、データ処理後にはすべての条件で水銀の特徴的なピークを同じように取り出せたという。電極の消耗の影響を低減できるため、簡便なシステムとして実装でき、電極自体の繰り返し使用回数も増加させられるメリットもあるとした。

研究チームは現在、今回の開発技術を基礎とする簡易測定装置の試作に取り掛かっているという。さらに、建設現場で採取される掘削サンプルに含まれる添加剤の影響にも耐えられるような技術開発にも取り組んでおり、水銀をどのような条件・検体でも簡単に測定できる手法の確立を目指しているとした。
(波留久泉)



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