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吉川明日論の半導体放談 第308回 データセンター市場で起きている劇的な半導体の主役交代

マイナビニュース / 2024年7月17日 6時45分

○NVIDIA

生成AIの登場でデータセンターでの主導権を一気に引き寄せた。AI市場を見据え、開発環境ソフトの充実に早くから取り組んだJensen Huangの先見の明が、ハード製品の優秀性を見事に補完し、現在AI市場では向かうところ敵なしの一強状態である。

Armの買収計画があったが、このプロジェクトは当局とArmの顧客たちの反対によって頓挫した。よって、単体のCPUでの製品投入はないが、H200などの大規模なAI製品には自社開発のArmベースの独自開発CPUを統合している。この2年間で「世界最大の半導体企業」の座をIntelから奪取した。

下記の簡単な表は、各社が四半期決算で発表したデータセンターでの売り上げを四半期ごとに比較して、単純に3社におけるシェアを割り出した図である。AMDとIntelの会計年度はカレンダー通りなので単純比較できるが、NVIDIAの会計年度はAMD/Intelの会計年度から1か月ずれた形となっているので、この表では便宜上最新期を起点としている。AMD/Intelは2024年第1四半期(1-3月)と、NVIDIAの2025会計年度第1四半期(2024年2-4月)を起点に2年間ほど遡った数字に基づいて算出している

各社の発表の数字を拾いながらシェアを計算する過程で驚いたのは、生成AIの登場とそれに伴うNVIDIAの売り上げの急成長によってデータセンター市場における半導体の構成が激変している点が浮き彫りになったことである。この中で独り勝ちのNVIDIAは今や文句なしの世界最大の半導体ブランドとなった。また、CPU市場ではAMDがIntelのシェアを徐々に奪い取っているものの、両社ともNVIDIAのGPUの急拡大に取り残されている状態である。この中でもIntelは伸び悩んでおり、「AMDとNVIDIAの挟み撃ち」という表現を使う向きもある。
データセンター市場を支配しつつあるNVIDIAに厳しい目を向ける独禁当局

かつてデータセンター向け半導体市場を支配していたのはIntelであった。IntelはPC市場での支配的な立場をそのまま勃興期のPCサーバー市場に持ち込み、AMDを始めとする競合の市場参入障壁を高めて優位性を確保してきた。

PC市場での足がかりをやっと掴んだAMDに対してIntelは、AMDがまだ参入しきていないサーバー用CPUとの「抱き合わせ販売」など、様々な手法で対抗しようとしている。また、高速メモリインタフェースの分野でも、その独占的地位を濫用する強引な業界標準を目指したりもした。その当時のIntelの「飛ぶ鳥を落とす勢い」を憶えている人には、現在のデータセンター市場での激変は隔世の感があるのではないだろうか?

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