東工大など、アンモニアを簡便かつ高密度に何度でも吸脱着できる材料を開発
マイナビニュース / 2024年7月18日 6時15分
そこで同結晶性固体材料を用いて、20℃におけるアンモニアガスの吸着実験が行われた。すると、極低圧からアンモニアが吸着され、最終的には8.27mmol/gのアンモニアが吸着されたとした。この時の材料内でのアンモニア吸着密度は0.533g/cm3と、液体アンモニアの密度に近い値(-33℃で0.681g/cm3)になったという。
さらに、結晶性の劣化や吸着量の減少を伴うことなく、アンモニアを繰り返し安定に吸脱着できることも確認された。20℃で9回連続で行われたアンモニアの吸脱着の等温線(アンモニアの圧力を変化させていった時に、材料がアンモニアを吸着した量を表したグラフ)では、9回分の吸脱着線がよく重なっていることからも吸脱着が安定して繰り返し行えていることが明らかにされた。また通常の吸着材では、再利用時に残留アンモニアを取り除くため、減圧しながら数時間から1日程度、100~300℃程度で加熱する必要があるが、今回の材料では、室温下で1時間の減圧だけで完全にアンモニアを取り除いて再生することができたとした。
今回の研究成果は、水素キャリアとして注目を集めているアンモニアの吸着材料の新候補を提示するものであり、水素社会の発展に寄与するアンモニア吸着材の開発につながる点で、社会的に大きなインパクトを持つといえるとした。
研究チームは今後、リング状分子の内部を適切な官能基で修飾することで、アンモニアに対するさらなる吸着能や選択性を向上させ、液体アンモニア以上の密度でアンモニアを吸着できる材料の開発を目指すとしている。
(波留久泉)
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