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井上尚弥と闘うドヘニーは、本当に“役不足”挑戦者なのか? 『9・3有明アリーナ』

マイナビニュース / 2024年7月18日 17時10分

翌19年1月には米国ニューヨークで高橋竜平(横浜光)に11ラウンドTKO勝利しIBF世界王座初防衛、デビューからの連勝も「21」に伸ばした。
しかし同年4月にWBA世界同級王者ダニエル・ローマン(米国)との王座統一戦を行い0-2の判定負け、初黒星を喫し王座から転落している。

以降、精彩を欠く試合が続いた時期もあり、その間に敵地でサム・グッドマンにも判定で敗れている(2023年3月)。だが直近の3試合はすべてTKOで勝利しており現WBOアジアパシフィック・スーパーバンタム級王者だ。
26勝(20KO)4敗の戦績が示す通りのハードパンチャー。37歳になった現在も強打は健在で、思い切りの良いアグレッシブな闘いができる。

ドヘニーはグッドマンに敗れている。
そのために格下扱いされているが、どうだろうか。
私も大方と同じで、ドヘニーもグッドマンも井上に勝つのは極めて難しいと見ている。それでも「番狂わせ」を起せる可能性を秘めているのはドヘニーの方だと感じる。理由は「一撃」を秘めているからだ。

一撃で相手を倒せる強打がないテクニシャンは、モンスター相手に番狂わせを起こせない。
なぜならば、卓越したスピードとテクニックを備え持つ井上は一度ペースを握った後の試合運びが盤石だから。
モンスター相手に勝利する術はただ一つ。距離を測られ動きを察知される前に一撃を見舞うこと。それができる可能性が僅かだがドヘニーにはある。

こんなこともあった。
昨年10月のジャフェスリー・ラミド(米国)戦。前日計量を55.2キロでパスしたドヘニーは、試合当日に体重を67.5キロに戻していた。実に12キロ以上という驚異のリカバリー。そして試合では、フィジカルパワーを存分に活かしラミドを1ラウンドTKOに葬ったのだ。
ドヘニーは、井上戦でも同様の調整をするはず。井上がリズムを刻む前に一気に攻め込もう。この策が嵌るか否かが、闘いの見所である。

井上優位の予想は変え難い。
それでも、策を秘めるドヘニーは“役不足”挑戦者などではない。元世界王者で、いまなおランキング2位の男が“役不足”と言われてしまうのもどうかと思う。
すべては、井上が強過ぎる故の苦悩─。

文/近藤隆夫

近藤隆夫 こんどうたかお 1967年1月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を1年余り放浪した後に格闘技専門誌をはじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から2年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等でコメンテイターとしても活躍中。『プロレスが死んだ日。~ヒクソン・グレイシーvs.高田延彦20年目の真実~』(集英社インターナショナル)『グレイシー一族の真実 ~すべては敬愛するエリオのために~』(文藝春秋)『情熱のサイドスロー ~小林繁物語~』(竹書房)『ジャッキー・ロビンソン ~人種差別をのりこえたメジャーリーガー~』『柔道の父、体育の父 嘉納治五郎』(ともに汐文社)ほか著書多数。
『伝説のオリンピックランナー〝いだてん〟金栗四三』(汐文社)
『プロレスが死んだ日 ヒクソン・グレイシーVS髙田延彦 20年目の真実』(集英社インターナショナル) この著者の記事一覧はこちら
(近藤隆夫)



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