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千葉大など、LHCで電子とミューの2種類のニュートリノの反応断面積を初計測

マイナビニュース / 2024年7月18日 19時32分

そこで今回の研究では、LHCでの陽子衝突を用いて1TeV程度の高エネルギーニュートリノを生成し、衝突点から480m離れた地下に検出器を置いて捕捉するという新方式が提案され、2022年より実験が行われてきた。ニュートリノ検出器「FASERν」は密度が金と同じタングステンの板と、ナノメートルの精度で粒子の飛跡を検出できるエマルジョン検出器のフィルムが交互に重ねられた1.1トンの検出器である。そして、大量の背景事象の中から高いエネルギーの事象を選び出すことにより、νeとνμの検出に成功。νeに関してはLHC実験の中で今回が初めての観測だという。電子は物質と相互作用すると電磁シャワーを起こすことが知られており、その様子が検出器中で美しく観測されたとした。

TeVエネルギー帯のニュートリノは従来型の加速器実験では到達できず、宇宙線起因のニュートリノでも探れない空白地帯だったが、初めての反応断面積が測定された。1TeVの反応断面積として、νeが、νμが0.5±0.2×10-35cm2と計測された。まだまだ大きい誤差の範囲内ではあるが、素粒子標準模型からの予測値と矛盾しない結果といえるという。

今回の研究により、衝突型加速器を用いてニュートリノの特徴が測定できることを示せたとする。研究チームは今後、数年をかけて検出するニュートリノの統計数を100倍にし、3世代のレプトンに差があるのか、そこに未知の力が隠されているかどうかなどの問いに答えていくという。特に、今後の詳細研究で検出が期待されるタウニュートリノは実験的理解が乏しいため、タウニュートリノを研究することにより未知の物理機構の解明につながる可能性があるとしている。
(波留久泉)



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