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NTTなど、トポロジーの原理を利用した「ギガヘルツ超音波回路」を実現

マイナビニュース / 2024年7月18日 19時43分

画像提供:マイナビニュース

日本電信電話(NTT)と岡山大学は7月16日、トポロジーの原理を利用したギガヘルツ超音波回路を実現したと共同で発表した。

同成果は、NTT 先端技術総合研究所と岡山大の共同研究チームによるもの。詳細は、7月19日まで富山市で開催中のメタマテリアルやフォトニック結晶などに関する国際会議「14th International Conference of Metamaterials, Photonic Crystals and Plasmonics(META2024)」にて発表された。

無数の電波が飛び交う中で混信を避けるため、スマートフォンなどの無線通信端末は、所望の信号のみを精密に抽出して受信する必要があり、そのために重要な役割を果たすのが超音波フィルタだ。超音波は、物質がキロヘルツ(kHz)からギガヘルツ(GHz)の周波数で振動する波を指す。これは、通常の電波と比較してずっと細かな波によって構成されており、さらにはエネルギーの素子外への漏れが極めて小さいという優れた性質を持つ。そのため、電子部品から作るフィルタよりも圧倒的に小さく省電力なフィルタを実現できるという。

ハイエンドのスマートフォンでは、その聴音亜フィルタを100個近く搭載しているとされ、それによって異なる帯域の信号を効率的に送受信できるようになるとする。近未来のより高度に発展したIoT社会では、ますます多くのフィルタが必要となり、さらなる小型化が重要になる。そのためには、電気の配線のように、細い経路(導波路)に振動を閉じ込めて所望の方向に導くことができる超音波回路が必要だ。

しかし、超音波は曲げることが難しく、急な方向の変化は直ぐに後方反射を引き起こすという難題を抱えていた。それゆえ、微細な超音波回路を実現することはこれまで困難だったという。そこで研究チームは今回、数学の理論であるトポロジーを新たに活用し、ギガヘルツ超音波の後方への反射を抑えて伝搬できる「トポロジカル超音波回路」の実現を目指すことにしたとする。

今回の回路を伝わる超音波は、周囲の周期孔の形状によって作られるトポロジカル秩序で守られ、反射がなく安定した伝搬を示す。そのため、導波路の形状に関係なく、超音波は反射せずに滑らかに伝わるという。導波路構造は、左回りまたは右回りに5°だけ傾けた周期孔からなる2種類のトポロジカル構造を持つ。この構造のエッジ(接合面)に外部から超音波を加えると、互いに反対方向に回転する「バレー擬スピン」が発生し、エッジに沿って一方向に進む超音波伝搬現象「バレー擬スピン依存伝導」が生じる。同現象はトポロジカル秩序によって保護された頑強で安定した進行波となるため、急な曲がり角があっても、通常の超音波のような後方への反射は起こらず、エッジの形状に沿って滑らかに伝わるという。

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