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写植機誕生物語 〈石井茂吉と森澤信夫〉 第46回 【コラム】「邦文写植機」発明100周年を前に

マイナビニュース / 2024年7月23日 12時0分

画像提供:マイナビニュース

フォントを語る上で避けては通れない「写研」と「モリサワ」。両社の共同開発により、写研書体のOpenTypeフォント化が進められています。リリース予定の2024年が、邦文写植機発明100周年にあたることを背景として、写研の創業者・石井茂吉とモリサワの創業者・森澤信夫が歩んできた歴史を、フォントやデザインに造詣の深い雪朱里さんが紐解いていきます。(編集部)

○はじまりの日

明日2024年7月24日で、邦文写真植字機は発明100周年をむかえる。

機械の天才・森澤信夫がつくった小さな模型から始まった邦文写真植字機は、石井茂吉という類を見ない才能を得て、光 (レンズ) と文字を手に入れる。ふたりがつくりあげた画期的なその機械は、鉛活字を1本1本組み上げて印刷していた日本に、多彩な書体デザイン文化をもたらしていく。

100年前の1924年 (大正13) 7月24日は、その最初の特許を出願した日だ。邦文写真植字機が実際に日本の出版・印刷界に根づき、使われるようになるまでの道のりがまったく平坦ではないのは、本連載を読んでくださっているかたであれば、ご存じのことだろう。

連載を開始したのが2022年11月15日。それから1年半以上が経つが、現時点では、茂吉と信夫、ふたりの写真植字機はまだ完全には実用化されていない。

2024年、邦文写真植字機発明100周年の節目をむかえた今年。2月13日にモリサワが発表したプレスリリースは、フォント界をふたたび驚かせた。本年、「石井明朝・石井明朝オールドスタイルかな」「石井ゴシック」をはじめとする合計43フォントをリリースすることを皮切りに、数年内で合計100フォントのリリースを予定しているというのだ。写研とモリサワ両社のOpenType開発共同プロジェクトは1回限りのことではなく、ここからが始まりなのだという。

100年前の7月24日、37歳の石井茂吉と23歳の森澤信夫が、未知の機械「邦文写真植字機」の開発に取り組み始めたように、2024年、写研書体を現代のデジタルフォントとしてよみがえらせるモリサワと写研の共同プロジェクトが、実際の姿を見せ始めるのである。
○連載のゆくすえ

ところで、本連載「写植機誕生物語〈石井茂吉と森澤信夫〉」がこの100周年の節目である2024年7月24日までに終了するとおもっていた読者も多いのではないだろうか。しかし第45回までをご覧いただくとおわかりのように、ふたりの写真植字機は、まだ道なかばである。

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