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NTT、パルス幅1.2psのグラフェンプラズモン波束をチップ上で転送することに成功

マイナビニュース / 2024年7月22日 15時26分

今回の研究では、研究グループが2022年に発表したグラフェン光検出器におけるゼロバイアス動作(220GHz)の実現手法をベースに、コプレナー導波路と光伝導スイッチを組み合わせた回路を構成。発生用光スイッチにフェムト秒レーザーを照射し、超短電気パルスを発生させ、それが導波路を検出用光スイッチに向けて伝播したのを、プローブ光によって確認し、その時間差に基づく電流の変化を計測することで1.2psというパルス幅の波形を取得することに成功したとする。ちなみにこの1.2psのパルス幅は、入射電気パルスと同等の時間幅であり、THz信号という高周波をゆがませること無く転送可能であることを示すものだという。

また、コプレナー導波路にグラフェンを挿入することで、THz電気パルスによるプラズモン励起を実現したとするほか、ゲート電圧によりTHz領域のプラズモン信号の位相・振幅を制御することにも成功。電荷密度変調によるプラズモン速度および振幅の制御に成功したことで、THz信号の位相・振幅を変調可能であることが示されたとする。

さらに、デバイス上で変換されたプラズモン波束の形状を比較し、励起光率を算出したところ、従来の光を使った手法では0.006%であったものが、金(Au)をトップゲートとした金属ゲート構造の場合で3%、Auのような金属ゲートではなく、ZnOをトップゲート構造に採用した場合で35%と、大幅に高まることも確認。この効率の向上は、ゲート素材のインピーダンスのミスマッチによって変化したものと想定されており、構造の最適化を進めることで、さらなる効率向上が期待できる可能性があるとしている。

研究グループによると、このZnOが素材として非常に優秀で、成長条件を変えることで、さまざまな伝導度条件を設定できるとのことで、今後、実際に回路を作っていくうえで、欲しい性質に合わせる形でデバイスの構造を最適化することも可能ではないかとしている。ちなみに今回のZnOの条件は、金属ゲートと対照的な条件のものを試したかったとのことで、THzに対してほぼ透明な条件での値であり、今後としてはより金属に寄った伝導度にしていって、どのように変化していくのかを試してみたいとしている。

なお、研究グループでは、そうした今後の研究を通じて、より高度な信号処理素子、例えば周波数可変フィルター、増幅器、変調器などTHz領域で実現していきたいとしており、そうした技術の進化を通じて新たな光電融合技術の発展に結びつけたいとしているほか、THz領域における信号処理技術を発展させていくことで、将来的な情報通信や計算処理速度の向上にも貢献していきたいとしている。
(小林行雄)



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