スマホカメラで撮影した眼の結膜から貧血を予測するAIを東大などが開発
マイナビニュース / 2024年7月23日 17時30分
続いてそのセグメンテーションモデルを用い、150名全員の症例について眼瞼結膜の領域の抽出を行い、血液検査で測定されたヘモグロビン値と合わせて機械学習モデルに対する学習が行われた。ここでは、機械学習モデルとして非深層学習モデルと深層学習モデルの両方が使用され、非深層学習モデルでは、眼瞼結膜領域からさらに色の情報を抽出しヘモグロビン値が予測された。一方で、深層学習モデルでは、抽出された眼瞼結膜領域をそのまま使用して、ヘモグロビン値が予測された。その結果、非深層学習モデルよりも深層学習モデルの方が精度よくヘモグロビン値を予測できたという。
最後に、深層学習モデルを用いたヘモグロビン値の予測において、眼瞼結膜領域のどの部分が特に重要なのかを調べるため、画像のどの部分が重要であるかを解析・可視化する手法である「勾配加重クラス活性化マッピング(Grad-CAM)」を用いた可視化が行われた。その結果、貧血の実測値と予測値が近い症例では眼瞼結膜の下半分が特に注目されていた一方、実測値と予測値の乖離が大きい症例では、眼瞼結膜の下半分以外に注目していることがわかったとする。
研究チームは今回の研究成果により、深層学習モデルにおいて特に眼瞼結膜の下半分の領域に注目することが重要であることが明らかにされ、さらに精度のよい深層学習モデルを構築することで、将来的には臨床実装に向けた技術の発展につながることが期待されるという。特に、スマートフォンで撮影した眼瞼結膜画像をもとにAIモデルが開発されたことから、誰でも、どこでも、病院に行くことなく貧血の有無を推定できるスマートフォンのアプリケーションの開発に応用できる可能性があるとした。そして具体的には、医療アクセスの乏しい中・低所得国や、鉄欠乏性貧血をきたしやすい小児・妊婦などでの簡便な貧血スクリーニングへ応用できることが考えられるとしている。
(波留久泉)
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