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都立大、性染色体が雌雄の対立を軽減することをハエを用いた研究で確認

マイナビニュース / 2024年7月26日 17時1分

今回の研究では、ネオ性染色体と呼ばれる起源の新しい性染色体を持つ3種のショウジョウバエと、ネオ性染色体を持たないそれぞれの近縁種を比較することで、性染色体の獲得が性的対立を軽減する要因となり得るかが検証された。その結果、ネオ性染色体を持つ3種のショウジョウバエは、いずれもネオ性染色体を獲得した後に、特に幼虫においてネオ性染色体上の多くの遺伝子が性バイアス遺伝子に進化する傾向があることが判明したとする。

一般に、幼虫では成虫に比べて性的対立が小さいと考えられているため、この結果は一見すると意外に思われるという。しかし、ショウジョウバエを含む多くの昆虫では成虫の体サイズが雌雄で異なることが知られており、ショウジョウバエではメスは大きいほど、オスは小さいほど適応度が高いという報告がある。つまり、ショウジョウバエの体サイズは性的対立状態にあると考えられる。

昆虫は外骨格を持ち、成虫になってから体サイズはほとんど変化しないため、成虫の体サイズは幼虫の大きさで決まると考えられている。つまり、幼虫の体サイズも性的対立状態にあると考えられるという。実際、幼虫で獲得された性バイアス遺伝子の多くは、代謝(つまり体サイズや成長速度)に関わる遺伝子であることが明らかにされた。ネオ性染色体を獲得した結果、幼虫で代謝に関わる多くの性バイアス遺伝子が進化し、体サイズに関わる性的対立が軽減したことが考えられるとしている。以上の結果は、性染色体の獲得により、一見すると性的二型(雌雄の表現型の違い)が少ないように見える組織や発生段階における性的対立が軽減し得ることを示唆しているとした。

今回の研究成果により、これまで知られていた「環境に依存しない安定的な性比の提供」という性染色体のメリットに加え、「性的対立の軽減」という新たな性染色体のメリットを解明できたものと考えているという。また研究チームでは現在、直接性的対立を測定する手法の開発も進めており、今回の結論をさらに検証していく予定としている。
(波留久泉)



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