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体色変化は擬態から威嚇手段に転用された? - 東北大がメダカの観察で確認

マイナビニュース / 2024年7月29日 10時50分

そこで今回の研究では、2つの異なる条件下で、三者関係(オス2匹とメス1匹、またはオス3匹)における体色と攻撃行動の関係が調査された。1つ目の条件は、一般的な実験室飼育条件を模倣した水槽壁面が藻で覆われた背景が暗い環境、2つ目の条件は、水槽が透明で背景が明るい環境とされた。

藻で覆われた暗い背景条件では、黒色模様を持つオスは、黒色模様を持たないオスやメスと比較して、他個体に対してより頻繁に攻撃を行うことが確認されたとする。また黒色模様を持つオスは、黒色模様を持たないオスやメスからほとんど攻撃を受けなかったとのこと。以上から、黒色模様は他個体に対する“威嚇のシグナル”、いわばヒトの“威嚇の表情”のように機能することが考えられるとした。

しかし対照的に、透明で明るい背景条件では、黒色模様を持つオスと攻撃行動の両方が一度も観察されなかったという。カモフラージュが優先的に機能したことで、威嚇のシグナルが使用できなくなったことが考えられるとする。これらの結果から、セレベスメダカは環境に応じて体色を変化させ、カモフラージュとコミュニケーションの2つの役割を使い分けていることが明らかにされた。

研究チームによると、背景環境への体色変化を介したカモフラージュは真骨魚類の間で広く観察されているが、体色の黒色化をコミュニケーションに利用することは特定の種でのみ観察されているという。このことは、背景環境への適応に広く利用されてきたこの形質が、セレベスメダカを含む特定の種においては、種内コミュニケーションのために転用されたことが示唆されているとする。セレベスメダカを含むインドネシア原産のメダカ科魚類では、近年リファレンスゲノム情報の整備やゲノム編集技術の適用が進んでいることから、今後の研究により、カモフラージュ形質がどのようにしてコミュニケーション手段へと転用されたかに関する詳細な分子・神経メカニズムの解明が期待されるとしている。
(波留久泉)



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