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『虎に翼』にも登場した"土地の境界線"問題、実は他人事ではない - 相続で痛い目に遭う例も

マイナビニュース / 2024年8月2日 11時0分

今回申請の詳細は省きますが、書類の中で特に注目してほしいことがあります。それは、「登記事項証明書」と「公図」からわかる土地の境界線です。

「登記事項証明書」は法務局で出してくれますが、地目が現況と違う場合や境界線がはっきりしないことがあります。地番確認の際に気づかれた時は、すぐ土地家屋調査士に依頼し、境界線を確定させてください。

なぜそこまでする必要があるかというと、相続した土地が後々、トラブルに巻き込まれる恐れがあるからです。例えば境界線が曖昧なまま家を建て、完成後に隣地を超えていることが分かり、訴訟になったケースもあります。お隣の方と和解できれば幸いですが、そういかないことだってもちろんあります。その場合、新築云々に関係なく更地にする原状復帰が基本の対応。もしものとき、安心して相続してもらうために、境界線の確定は必須の手続きなのです。

境界線を確定させる流れとしては、土地の物理的な測量に加えて、測量後に隣地所有者による「立ち会い」も行われます。自治体が所有する側溝や道路などに面している場合は、管轄行政地の担当者も含めた「官民立ち会い」になるため、さらに時間と費用がかかります。

立ち会いでは、土地家屋調査士の作った測量図を元に、ご本人だけでなく隣接地の所有者が全員集まり、境界線を確かめた上で署名と捺印を行って公式な境界を確定します。行政担当が参加する場合はその日程調整に1カ月半ほど必要な自治体もあるので、何らかの期限がある場合は注意が必要です。

出費も増えてしまいますが、その後のトラブルを避けるためにも必ず行ってください。
○関東・中部・北陸・近畿出身者は特にご注意を

昭和26年から行われている国による地籍調査(※2)は、現時点で国土の53%。都道府県別の進捗差も大きく、関東・中部・北陸・近畿で大幅に遅れていることがわかります。筆者の住む滋賀県も調査が遅れている地域ですが、どうやら県の15%にも達していないようです。

そう考えると、地籍調査が遅れている地域や山間地に故郷がある方ほど、自分で地積測量を行わなければならない可能性が出てきます。どんなことでも体力が落ちてからでは億劫になるばかり。ご両親とも協力し、早いうちに解決しておくことをオススメします。

(※1)市役所内の「農業委員会事務局」などが多い。名称が異なる地域もあるので該当地を管轄する自治体にご確認ください。
(※2)市町村が行う一筆ごとの土地の所有者、地番、地目を調査し、境界の位置と面積を測量する調査

行政書士/木村早苗 きむらさなえ 1975年滋賀県生まれ。立命館大学大学院卒業。出版社勤務を経てフリーランスライターとして幅広い分野で執筆する。2020年に地元にUターンし、2024年に行政書士登録。川木清事務所を開設し、障害福祉サービス施設申請業務や遺言書作成や相続サポートを専門に活動中。「川木清(かわきせ)」とは曾祖父の代から使われてきた目印。ねこと音楽と洋裁が好き。 この著者の記事一覧はこちら
(行政書士/木村早苗)



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