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九大など、太陽圏終端で生成される「宇宙線異常成分」の初期加速過程を解明

マイナビニュース / 2024年7月30日 18時19分

そもそも衝撃波で宇宙線が加速されるためには、宇宙線の種になる粒子(種粒子)が、衝撃波の周りに潤沢に存在している必要がある。しかし、そのための条件や種粒子がどのように作られるのかがよくわからないという重大な未解決問題があるという。そこで研究チームは今回、この種粒子の生成機構解明に取り組んだとする。

宇宙線の主成分は陽子であり、太陽圏終端衝撃波の近傍には、同領域特有の「ピックアップイオン」と呼ばれる陽子成分が多く含まれることが明らかにされている。ピックアップイオンは、太陽圏外の星間空間に含まれる中性水素が、太陽圏内で太陽風の陽子と衝突して電荷を交換したり、太陽光(光子)との衝突で電離したりすることで、太陽風と共に(太陽風にピックアップされて)運動すると考えられている。

今回の研究では、このピックアップイオンを含む形で終端衝撃波の構造を第一原理計算で再現し、時間発展する衝撃波構造の中でのピックアップイオンの挙動を詳細に解析。その結果、衝撃波面に対して磁力線が斜めを向くことが重要であること、この時、衝撃波上流で励起される大振幅電磁波が一部のピックアップイオンを効率的に加速すること、加速の初期段階でピックアップイオンが「サーフィン加速」と呼ばれる特徴的な挙動を示すことなどが明らかにされた。

2025年打ち上げ予定のNASAの次期太陽圏探査ミッション「IMAP」では、今回調査された種粒子と同じエネルギー帯の、太陽圏外縁で生成される高エネルギー粒子(高エネルギー中性粒子を含む)の一部が地球軌道付近まで到達したものを観測する計画だ。なお高エネルギー中性粒子は、太陽圏外縁では電荷交換反応が盛んなため、外縁領域で加速された陽子の一部は中性化することが知られている。これらの高エネルギー中性粒子の一部は、電磁場の影響を受けずに地球近傍まで到達することから、それらを捉えるという計画である。粒子の全天マップが得られれば、広い太陽圏のどこで種粒子が作られているかの情報が得られ、衝撃波における宇宙線加速の理解が格段に進むことが期待されるとしている。
(波留久泉)



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