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産総研、神経細胞の活動を非侵襲的で迅速かつ正確に評価するシステムを開発

マイナビニュース / 2024年7月30日 19時50分

対照液(緩衝液)またはグルタミン酸溶液に反応したそれぞれ30個の神経細胞から得られたスペクトル情報が、統計解析法の一種の「主成分分析」により次元削減され、機械学習法のサポートベクターマシンにより計算が行われた。その結果、対照液に反応した神経細胞(対照細胞)と、グルタミン酸で刺激された神経細胞の分類精度は98%を示したという。これにより、PRESSはグルタミン酸溶液による神経細胞の活動の変化を高精度に検出できることが確認された。

次に、神経細胞が集団で活動する神経核を計測できるのかどうかが検証され、試験には、ヒトiPS細胞由来の「自律神経細胞」(興奮やリラックスなどを制御する神経細胞)が用いられた。同細胞は体内では集団の神経核の状態で存在し、作製されたものも数十個の神経細胞が凝集した形態を示したという。そしてこの神経凝集体の機能を評価するため、測定面積が最大49倍に拡大され、レーザー光の走査速度や露光時間を調整するなどしてPRESSの測定手法が改良され、複数の細胞からなる広い領域のラマンスペクトルを数秒間で取得できる手法が確立された。

また、S/N比の高いスペクトルの計測のための条件も検討された。自律神経細胞を活性化するニコチン溶液または対照液に反応した神経凝集体から、それぞれ30領域ずつラマンスペクトルが取得された。得られたデータを機械学習で解析したところ、対照液に反応した神経凝集体(対照群)とニコチン溶液に反応した神経凝集体を98%の精度で識別できたとする。さらに、ニコチン刺激により神経活動に寄与する分子情報として、特定のラマンマーカーの検出にも成功。さらにPRESSは、ニコチン濃度に依存した神経細胞の活動の評価も実現。これは、ニコチン濃度によって反応する神経細胞の割合や細胞内での変化が異なることを捉えた結果と考えられるとした。

今後は、計測と解析の自動化による迅速で低コスト、かつ高精度な細胞活動の評価を目指して、PRESSの技術改良を進めるという。具体的には、ロボティクスや画像解析の技術を応用し、多検体の自動計測を可能にするほか、最先端の光学技術を取り入れ、ラマン計測の感度や時間分解能の向上も図るとする。さらに将来的には、創薬分野における新薬開発や毒性評価、生殖医療における非破壊な胚評価への今回の技術の活用を検討していくとした。
(波留久泉)



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