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電力クライシスに備えよ! 世界の潮流から読み解くデータセンターの今 第4回 世界的なAI活用で変革を迫られるデータセンターの電力調達戦略

マイナビニュース / 2024年9月9日 7時0分

画像提供:マイナビニュース

生成AIの登場によって、データセンターは大変革を迫られている。なぜなら、AIのワークロードは従来のコンピューティングとは比較にならないほど大量に、CPUやGPU、メモリーなどのリソースを消費し、データセンターの電力消費がこれまでの予想以上に増大すると考えられているからだ。今、データセンターに対しては、GoogleやAmazon、Microsoftなどを先頭に、再エネによる電力を使うことを最低要件として求めつつあり、これに呼応して、世界規模で政府や業界団体、企業が取り組みを進めている。今回は、この電力調達をテーマにして、最前線のデータセンター事例を紹介したい。
再エネの調達力がデータセンターの競争力に

今後5年間でAIに関連するワークロードの消費電力が増大すると、現状4.3GWと推計されているAIワークロード由来のデータセンターの消費電力は、2028年には13.5〜20GWの規模に到達すると見られている。また、AIワークロードに消費されるデータセンターの消費電力の割合は、現状の8%から2028年には15〜20%の規模にまで増加すると見られている。ただし、最近も枚挙にいとまがないほど急速に進化を続けるAIの産業利用を眺めていると、こうした試算よりももっと速く進むのではとも感じてしまう。

こうしたAIによる消費電力の加速度的増加によって、データセンターの戦略にも変化が起きている。例えば、AIのトレーニングワークロードに関してはそれほど即時性が必要とされないことから、データ通信のレイテンシーの回避を考慮するよりも、安定した電力容量が確保できる地域をデータセンターの建設地に選ぶ傾向も見えてきている。

大量の電力消費は、そのまま大量のCO2排出に直結する。当然のことながら再生可能エネルギーの利用や電力効率の向上による環境負荷の低減が世界的に求められているわけで、すでに欧州では、EUDCA(欧州データセンター協会)がCNDCP(気候中立データセンター協定)を通じて、主要メトリクスの自主規制目標値を公表している。

PUE(電力使用効率)は2030年までに1.3未満、REF(再エネ使用効率)は2025年末までに75%、2030年末までに100%、日本から見ると高い水準のようにも感じられるが、これに対して、欧州ではすでに80社以上が、2030年までに同協定の目標を遵守したことを証明するデータの提供をコミットしている。中国も、進み具合は欧州と比べると差はあれど、国・自治体レベルで明確に規制を進める動きが強まっている。また、北米では、どちらかというと企業主導で動きが加速してきた傾向があると言えるかもしれない。例えばGoogleは2030年までにカーボンフリーを目指すと宣言し、Microsoftでは2030年までにバリューチェーン全体でカーボンネガティブを目指すことを宣言している。これらGAFAM企業は、自社のデータセンターに関して明確なカーボンフリーもしくはカーボンネガティブの目標を立てており、データセンターのオペレーションにおける目標は現状既に達成している企業も多い。

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