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農工大など、レンズ・プリズム・波長板を統合した超薄型光学素子を開発

マイナビニュース / 2024年7月31日 16時0分

今回、Rb小型原子時計に用いられる波長795nmで動作する、レンズ・プリズム・波長板の3機能を1枚に統合した多機能集積化メタサーフェスが開発された。これは、光源から入射する拡散直線偏光を、円偏光の平行光に変換して、角度を変えて出射することができるというものだ。

設計ではまず、「水素化アモルファスシリコン」で製作された矩形(長方形)断面のメタアトムの柱構造の電磁場解析が行われ、偏光のx方向成分とy方向成分との間に1/4波長(90度)の位相差を生成できる寸法が抽出された。そして、偏光間の位相差を保ちつつ、全体の位相遅延を0~360度の間で自在に制御できるよう設計し、縦298nm×横2384nmの範囲に8本の異なる寸法の柱を並べることで、プリズムと波長板の2機能の統合ができることが確認されたという。詳細な誤差解析が行われ、寸法誤差が回折効率・集光効率に与える影響が調査された。

実験ではプリズムと波長板の2機能の統合と、レンズ・プリズム・波長板の3機能統合が取り組まれた。3機能統合では、0.3mm×0.3mmの範囲内に360種類の異なる寸法の柱が配置された。2機能統合では回折効率72.8%、3機能統合では集光効率77.3%が達成され、高い性能を示すことができたとする。

現代は、年を追うごとに、高速かつ大容量で安全な通信技術への需要が高まっていく状況だ。そのためには高精度かつ安価なタイミングデバイスの開発が必要であり、スマートフォンに搭載可能な超小型原子時計はその有力な候補だという。今回の研究で提案された多機能集積化メタサーフェスは1枚の超薄型素子で光の伝搬方向・集束性・偏光状態を高効率に同時精密制御する技術を提供するものであり、大量生産に対応することも可能だ。そのため研究チームは、次世代の超小型原子時計開発のための重要技術となることが期待されるとしている。
(波留久泉)



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