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宮崎大など、認知障害などを抑える脳内ニューロンの新規メカニズムを解明

マイナビニュース / 2024年8月1日 16時26分

次に、このマウスの脳の機能への影響が調べられた。すると、上記のような成体ニューロン新生の時空間的な調節の異常によって、認知障害やてんかん発作が起こりやすくなることも判明したとする。それに加え、それらの表現型を引き起こす分子メカニズムとして、Derlin-1を欠損した神経幹細胞でタンパク質「Stat5b」の発現が減少していることも明らかにされた。なおStat5bは、細胞の増殖や分化などの制御に関わる、シグナル伝達兼転写活性化因子ファミリーの1つである。

さらに、一般的には「ケミカルシャペロン」(タンパク質の正しい高次構造の形成や安定化に関わる低分子化合物群のこと)として知られる、4-フェニル酪酸「4-PBA」のシャペロン作用とは異なる「ヒストン脱アセチル化酵素阻害作用」が、低下したStat5bの発現を上昇させ、認知障害やてんかん発作の症状を改善できることも解明された。

これらの結果は、Derlin-1-Stat5b経路の活性化が、成体ニューロンの適切な産生を促すことで、脳の正常な機能維持に重要な役割を果たしていることが示されているという。同時に、成体ニューロン新生の異常を伴う脳疾患患者に対しては、ヒストン脱アセチル化酵素阻害が有効である可能性も明らかにされた。今回の発見のユニークな点として、Derlin-1の機能不全による小胞体ストレスそのものは、成体ニューロン新生の恒常性破綻の直接の原因ではなく、これまで知られていなかったDerlin-1-Stat5b経路が見出された点が挙げられるとした。

今回の成果および今後の研究の発展により、Derlin-1-Stat5b経路が、成体ニューロン新生の破綻を伴う認知障害やてんかん患者に対して、その病態を改善するための新たな治療標的となることが期待されるとしている。
(波留久泉)



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