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阪大など、スターリンク衛星を利用した遠隔ロボット手術の実証実験に成功

マイナビニュース / 2024年8月5日 18時19分

画像提供:マイナビニュース

徳洲会(徳洲会グループ)、大阪大学(阪大)、リバーフィールドの3者は、大阪府八尾市の八尾徳洲会総合病院において2024年6月30日に、低軌道衛星通信を用いた移動型遠隔手術システムの実証実験を実施したことを共同で発表した。

日本の地方部では深刻な医師不足が続いており、高度医療へのアクセスが困難な状況にある。そこで現在、この問題を解決するための切り札として期待されているのが、遠隔手術システムだ。しかし、通信インフラの整備にかかるコストや災害時のシステムの脆弱性が課題となっていたという。そうした中で近年、ロボット制御技術や低軌道衛星通信技術が急速な発展を見せており、低コストで強靭な遠隔医療システムが実現しつつあるとする。

今回の実証実験では、リバーフィールドが開発した手術支援ロボット「Saroaサージカルシステム」を、八尾徳洲会総合病院の手術室内にサージョンコンソール(操作側)、屋外に配置したトラック内にペイシェントカート(患者側)を配置。そして低軌道衛星通信には、スペースXの「スターリンク」のサービスが利用された。また、接続のフレキシビリティを確保するため、クラウド上に中継用VPNサーバが設置された。

実験には6名の外科医が参加し、通常のロボット手術構成と遠隔のロボット手術構成での比較を実施。臓器の弾力性を再現したトレーニング用モデルを用いて、縫合・結紮(けっさつ)などの手技(傷口を縫い合わせたり、糸を結んで固定したりする作業のこと)が行われた。なお、Saroaサージカルシステムは2023年5月に日本国内にて薬事承認を取得したが、衛星通信やその他の通信を用いた地理的に離れた施設間での遠隔手術は、薬事承認範囲に含まれていないことから、今回の実証には専用機が用いられたとする。

そして実験に参加した医師6名全員から、遠隔のロボット手術構成においても、通常のロボット手術時と同様に、縫合や結紮などの繊細な手技が可能であることが確認されたとのこと。さらに、フルHD画質、4Mbpsの滑らかな映像伝送にも成功したとする。また中継用VPNサーバーにより、固定IPアドレスのない環境でも安定した接続性の確保が確認されたとした。

スターリンク衛星が位置する地球低軌道とは、国際宇宙ステーション(高度約400km)などを含む、高度2000km以下の軌道のことをいい、高度約3万6000kmの静止衛星軌道と比較して大幅に地球に近い軌道のため、信号の往復時間が大幅に短縮される。これにより、手術に必要な即時性の高い信号伝達が可能となり、4K映像などの大容量データもスムーズに送受信することができるようになるという。

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