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BE:FIRST 三山凌輝×乃木坂46 久保史緒里、触れ合うことができない恋人役で映画W主演

マイナビニュース / 2024年8月6日 14時4分

内田英治監督と初めて出会ったのは、六年前のことだった。私の著書、『誰よりもつよく抱きしめて』を映画化したいとの話が、共通の知人の制作会社の経営者を通してあったのだ。本書は2005年発売の作品で、その当時でも13年前に刊行された小説だった。光文社の『女性自身』で連載していた作品で、発売当初から映画化、ドラマ化の話が殺到していた。いろんな問題で話がまとまらずに結局、映画化までに20年の歳月を要してしまったが、結果、内田監督という稀代のヒットメーカーが撮ってくれることになったので、ここまで待ってよかったと思っている。

先日、試写を観た私がまず思ったのは、主役の三山さんが、いい意味で「BE:FIRSTの三山凌輝」のイメージを崩してくれたということだ。どういうことかと言うと、主人公の脅迫的潔癖症を患っている良城が憑依したような演技だったからだ。私は小説家という仕事柄、年間300本前後の映画やドラマを観ているが、ここまでタレントイメージを裏切る演技をした若手役者を見た記憶がない。

もう一人の主役、月菜役の久保史緒里さんの演技には言葉を失った。セリフのうまさはもちろん、セリフがないときの表情や瞳の演技が、セリフがあるときと同等、もしくはそれ以上に心に伝わってきた。小説家風にたとえると、顔面筋、毛細血管の一本一本まで動かす演技力、という感じだ。久保さんにお会いする前から、滅多に人を褒めない内田監督の評価が異常に高かったのも納得の女優力だ。静と動の演技の使い分けや声のトーンの強弱のつけかたが秀逸で、陳腐な言葉かもしれないが、彼女のような人を天才というのだろう。

チャンソンさんとは約10年前に、私の著書『忘れ雪』で主役をやって貰って以来、久々の再会だったが、韓国でもドラマや映画で活躍し、以前に比べて演技に深みが出て、大人の役者さんになったと感慨深い思いでスクリーンを見ていた。話題性だけではない二人の若き主役を抜擢し、これだけの作品に仕上げた内田監督の眼力と演出力もまた、紛れもない天才の為せる業だ。こんなに素敵な映画になり、小説家冥利に尽きる思いだ。

(C)2025「誰よりもつよく抱きしめて」HIAN /アークエンタテインメント

【編集部MEMO】
映画『誰よりもつよく抱きしめて』は、新堂冬樹氏の同名小説の実写化作。絵本専門店に勤める水島月菜(久保史緒里)は、絵本作家の水島良城(三山凌輝)と同棲中。長く付き合ってきた2人はお互いのことを大事にしているが、良城は強迫性障害による潔癖症を患っていて、すべてのものに直接触れることができなくなっている。恋人の月菜にも触れることができず、手をつなぐことすらできない。ようやく治療を決意した良城が、病院で初めて同じ症状の女の子・千春に出会う。葛藤を共有できる2人の交流に、月菜が嫉妬のような感情を覚えてしまう。そんななか、月菜の前に恋人と触れ合っても心が動くことができない男 イ・ジェホン(ファン・チャンソン)が現れる。触れることがままならない者たちがすれ違い、ぶつかり合い、関係が交錯していく。
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