夏でもクルマが熱くならない? 日産が画期的な塗装技術を開発中!
マイナビニュース / 2024年8月7日 8時0分
実際のクルマを使った実証実験は2023年11月に始まっている。ラディクール社日本法人の販売代理店を務める日本空港ビルディングの協力により、ANAエアポートサービスが日常的に使用している「NV100 クリッパーバン」(日産の商用車)にこの塗料を塗装し、評価を行っているのだ。この車両と通常塗料を塗装した車両を比べてみると、ルーフやボンネットなどボディ表面で最大12度、運転席頭上空間で最大5度の温度低下が確認できたという。
この日は自己放射冷却塗装を施したクルマとそうではないクルマが屋外に用意されていた。実際に触ったり乗り込んだりして、温度の違いを確かめてほしいという趣向だ。
実際にボンネットに触れてみると、通常塗装のクルマは「アチッ!」という、皆さんご存じのあの感じの熱さであったのに対して、自己放射冷却塗装は「ああ、暖かいな」という程度。その差を明確に感じ取ることができた。
一方で室内については、シート自体が熱を帯びてしまっていたため、大きな差が感じられなかった。あえていえば、通常塗装は「乗り込みたくない」、自己放射冷却塗装は「ちょっと我慢すれば乗り込める」というくらいの差だった。
実用化の見通しは?
この技術、実用化すれば日本の暑い夏を乗り切るために役立ちそうなのだが、どんな見通しなのだろうか? 屋根のないところにクルマをとめている人には、特に気になるところだろう。
商品化について三浦氏は、「塗装の膜厚は開発当初の0.12mmから大幅に薄膜化ができており、トラックや救急車など、炎天下での走行が多い商用車などへの特殊架装として検討中」と話していた。ただし、量販乗用車に使うには、さらに0.02mmまでの薄膜化が必要で、現時点では厳しい状況とのことだ。また、現在のカラーは白だけなので、乗用車用としてはバリエーションを増やす必要があり、こちらも開発を進めているという。
原アキラ はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。 この著者の記事一覧はこちら
(原アキラ)
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