1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

理科大、二重螺旋の巻き方向を反転させられる亜鉛単核錯体の合成に成功

マイナビニュース / 2024年8月9日 19時7分

まず錯体(1)の結晶構造が調べられた結果、1つのZn(II)カチオンに2つのビピリジンが配位し、錯体全体が二重螺旋構造を形成していることが判明。ビピリジン部位は2つのL字形ユニットの間に挟まれており、π-π相互作用によって二重螺旋構造が安定化されていた。また結晶中では、2種類の二重螺旋(左巻きのM型と、右巻きのP型)があり、これらが交互に積み重なっていることが明らかにされた。

次に、CDCl3中の錯体(2)錯体の構造が調査された。その結果、溶液中では錯体(1)と同様の二重螺旋配座に加え、オープン型配座(少なくとも1つのL字形ユニットが外向きに配向した状態)の存在が示唆された。また、これらの2つの配座が平衡状態にあり、低温では密なπ-π相互作用を形成する二重螺旋構造がエンタルピー的に有利である一方、高温ではL字形ユニットが高い自由度を持つオープン型がエントロピー的に有利であり、温度による構造制御が可能なことが解明された。

続いて、キラル部位を持つ1cからなる二重螺旋型モノメタロフォルダマー錯体(3)の螺旋の巻き方向を詳しく調査した結果、溶媒に依存して螺旋の巻き方向が変化していることがわかった。さらに検討を進めたところ、M型は非極性溶媒で、P型はルイス塩基溶媒で優先的に形成されることが確認されたという。

二重螺旋型モノメタロフォルダマーにおけるキラル伝達と増幅特性を評価するため、キラル部位のない1bとキラル部位を有する1cからなるヘテロレプティック錯体(4)における螺旋の巻き方向が調査された。すると、錯体(2)のみではコットン効果は観察されなかったが、配位子1cの添加によりヘテロレプティック錯体(4)が形成され、アセトンではP型が優勢、トルエンではM型が優勢となることがわかった。これらの結果は、二重螺旋を介することでキラル部位による螺旋反転特性がキラル部位のない鎖にも伝達されるとともに、キラリティが増幅されていることを意味しているとした。

今回の研究成果は、キラル特性の切り替えと高次のキラル構造制御のための設計指針を提供し、新たなキラルスイッチング材料の開発を促進することが期待されるとしている。
(波留久泉)



この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください