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アルミニウムナノワイヤの大量森状成長手法、名大が開発

マイナビニュース / 2024年8月15日 16時29分

今回の研究の鍵となったのは、原子拡散の源である駆動力を薄膜内部の結晶粒に着目して作り出したことにあるという。原子拡散は、原子濃度勾配、静水圧応力勾配、温度勾配、電位勾配などが駆動力となるが、今回は「粒勾配」を利用。イオンビーム照射によって薄膜表層のみの結晶粒を粗粒化させ、薄膜表層では粗粒、薄膜下層では細粒という粒勾配を作り出し、原子拡散の駆動力を増大させる引き金とした。これにより、イオンビーム照射後に薄膜を加熱することで、原子はいくつかの過程を経て運搬され、ナノワイヤに成長するための準備段階に入ることができたとする。

初期ステップとして、材料強度の指標となる「降伏応力」(材料に負荷を加えて変形させた際に、除荷しても元に戻らなくなる、変形の影響が残る臨界の応力値)の粒径依存性に由来して粒勾配が原子の上昇流を引き起こし、多くの原子を薄膜表面に運搬。その後のステップとして、降伏応力の方位依存性に由来して特定粒に向かった原子の流れ込みが生じる。これらの原子の流れはいずれも静水圧応力勾配に基づいており、有限要素解析によってその値を算出することが可能だという。たくさんの原子をため込んだ粒は、それを解放するようにナノワイヤとして成長するという。

今回の成果について研究チームでは、金属ナノワイヤの大量成長の実現のみならず、成長プロセスの仕組みを透過電子顕微鏡観察と有限要素解析による数値シミュレーションの併用で明らかにしたものであり、この成長プロセスそのものは、原理的には他の金属にも拡張可能であり、これまで閉ざされてきた原子の自己組織化による金属ナノワイヤ製造技術の出発点になると期待されると説明している。

なお、これまで原子拡散を用いて作られたアルミニウムナノワイヤの本数密度は、1975年に記録された2×105本/cm2(表面被覆率0.04%)が最大であったが、今回の成果ではそれを上回る最大180×105本/cm2が得られたことから、研究チームでは、今回の成果は多岐にわたるマイクロ・ナノデバイスへの応用を志向した原子スケールものづくり技術の創出につながることが期待されるとしている。
(波留久泉)



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