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脳の異常興奮を引き起こすグリア物質「IGFBP2」、山梨大などが発見

マイナビニュース / 2024年8月15日 16時52分

海馬神経細胞が生じる活動電位の増加
海馬における異常スパイク(脳波)の増加
薬剤誘発てんかんの感受性の増大(てんかん発作が起こり易くなった)

これらの結果は、疾患関連アストロサイトは、脳の異常興奮(神経過興奮)を起こすことが示されているとする。そこで、その原因が詳しく調べられたところ、以下の2点が判明したという。

神経細胞→疾患関連アストロサイトへの情報伝達(ATPが放出され、同アストロサイトが過剰のP2Y1受容体で感知する)が増強される
同アストロサイト→神経細胞への何らかの分子による情報伝達の増大

このことから、神経細胞→神経細胞間の情報伝達(シナプス伝達)が増強されており、これは興奮性神経伝達物質の「グルタミン酸遊離」が増加した結果であることが確かめられたという。

また、疾患関連アストロサイトが脳の異常興奮を引き起こす原因の探索に向け、同アストロサイト→神経細胞の情報を媒介するメカニズムの解明を目的とした同アストロサイトに発現する遺伝子の網羅的な解析の結果、同アストロサイト→神経細胞間の情報を媒介する候補分子として、IGFBP2が見出されたとする。

さらに、IGFBP2が実際に媒介因子であることを確かめるため、アストロサイト特異的に同分子の遺伝子欠損作用の検討が行われたところ、同分子の薬理学的および遺伝学的な阻害により、脳の異常興奮が消失することを確認。これは同分子が脳の異常興奮を起こすグリア物質であること、疾患関連アストロサイト→神経細胞を媒介する実行因子であることを示すものだと研究チームでは説明する。

加えて、IGFBP2が実際に種々の脳疾患のアストロサイトで増加しているのかが調べられたところ、てんかんなどの病態モデルにおいて、同分子は疾患関連アストロサイトで強く発現が増加していることが確認された。この結果から、種々の脳疾患において同分子が脳の異常興奮を惹起し、疾患の分子病態に関与する重要な新規グリア物質であることが判明したという。

ただし、研究チームによると、IGFBP2が脳の異常興奮を惹起するメカニズムについては、まだ不明な点が多く残されているという。また、同分子を標的にすることで脳疾患病態がどの程度改善されるのかも不明ともしており、そうした部分の解明が、次の重要なステップになると研究チームでは説明しており、この新規メカニズムがさらに詳しく解明されたり、今回の知見が臨床的研究にも活用されたりすることで、今回の研究意義がさらに高まることが想定されるとしている。
(波留久泉)



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