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京大、ペロブスカイト太陽電池の高性能化を可能とする単分子膜材料を開発

マイナビニュース / 2024年8月15日 17時45分

画像提供:マイナビニュース

京都大学(京大)は8月9日、ペロブスカイト太陽電池において、ペロブスカイト層から効率的に正孔を取り出すテトラポッド型正孔回収単分子膜材料「4PATTI-C3」を開発し、同材料の溶液から透明電極にスピンコートすることで、従来の単分子膜材料と違って、ペロブスカイト前駆体溶液に対して濡れ性の高い単分子膜が得られることを確認したと発表した。

同成果は、京大 化学研究所の若宮淳志 教授、同 チョン・ミンアン助教、同 山田琢允 特定助教、同 金光義彦 特任教授、九州大学の飯久保智 教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、独国化学会の刊行する機関学術誌の国際版「Angewandte Chemie International Edition」に掲載された。

ペロブスカイト太陽電池の実用化に際しての課題は、デバイスの耐久性がシリコン結晶系などと比べて低い点で、その理由としてペロブスカイト層で光吸収により生成された電荷(正孔と電子)を選択的に取り出す電荷回収材料の開発が進んでいないことが挙げられてる。中でも正孔回収材料については、材料の高性能化が停滞してしまっているという。

そうした中、研究チームは独自の分子設計コンセプト「多脚型分子」を提唱しており、これまでに開発したトリポッド型単分子膜材料「3PATAT-C3」を正孔回収単分子材料として用いることで、高い光電変換効率と優れた安定性を示すペロブスカイト太陽電池の開発に成功していた。しかし、そうしたPATAT誘導体では、「アンカー基」がすべて透明電極基板に吸着されるために正孔回収効率は高いが、単分子膜の表面が疎水的になってしまい、ペロブスカイト材料の極性溶液を塗る際に弾きが生じるため、大面積で高品質なペロブスカイト層の作製が難しかったという。

単分子膜分子の骨格に、上向きの極性官能基を導入できれば、ペロブスカイト層との密な相互作用が実現され、大面積でも高品質なペロブスカイト層を作製できると考えられることから、今回の研究では、ペロブスカイト層に対して上向きに張り出した極性官能基を持つマルチポッド型正孔回収単分子膜材料「PATTI」を開発、太陽電池特性への効果について調べることにしたとする。

具体的には、π共役骨格として、サドル型を有する「シクロオクタテトラエン骨格」に4つの「インドール骨格」が縮環した「シクロオクタテトラインドール骨格」(TTI)に着目。アンカーとして「アルキルホスホン酸基」を4つ導入したテトラポッド型の4PATTI-C3が合成された。比較化合物として、アンカー基の長さを炭素1個伸ばした「4PATTI-C4」も合成された。

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