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京大、ペロブスカイト太陽電池の高性能化を可能とする単分子膜材料を開発

マイナビニュース / 2024年8月15日 17時45分

合成したPATTI誘導体のDMF溶液を金属酸化物(ITO)上にスピンコートすることで、PATTI誘導体の単分子膜を作製。PATTI分子を吸着させたITO基板を作用電極として用いて、サイクリックボルタンメトリー測定を行ったところ、4PATTI-C3および4PATTI-C4の吸着量はそれぞれ9.63×1012と9.00×1012分子cm-2となり、PATAT誘導体の1.04×1013分子cm-2と同程度であることが確認されたとする。

また、それらの単分子膜上での水の接触角度が測定されたところ、4PATTI-C3は40°、4PATTI-C4は45°で、従来よりも親水性の向上が確認されたという。これは、COT骨格のサドル型構造に起因して、PATTI誘導体では透明電極に吸着した際に、2つのホスホン酸基がITO基板に吸着し、残り2つのホスホン酸基が上部のペロブスカイト層側に張り出していることを示唆する結果だという。実際、従来の単分子膜と比べても、ITO/PATTI誘導体膜の上には、均一性の高いペロブスカイト層を作製できることが示されたという。

さらに光電子収量分光測定からは、4PATTI-C3の単分子膜のイオン化ポテンシャル(HOMO)は-5.44eVと確認されたほか、4PATTI-C3のHOMO準位とペロブスカイト材料の価電子帯(VB)準位の差がどのようにペロブスカイト太陽電池の特性に影響を及ぼすのかを検討するため、VB準位が異なる2種類のペロブスカイト薄膜を用いて、一連のPATTI単分子膜を正孔回収層として用いたデバイスの作製および特性評価を行ったところ、4PATTI-C3のHOMO準位に近いVB準位(-5.58eV)を持つペロブスカイトを用いた際の光電変換効率は19.3%であったが、4PATTI-C3のHOMO準位よりも0.25eV深いVB準位(-5.69eV)を持つペロブスカイトを用いると、4PATTI-C3/Pの界面での再結合が抑制され、光電変換効率が21.7%にまで向上したとする。加えて、デバイス面積を約10倍に拡大させたミニモジュールでも、デバイス特性の損失がなく21.4%の光電変換効率が示されたとする。また、高耐久性も確認され、不活性ガス雰囲気下で、100時間連続光照射条件下で、97%の特性が保持されたとしている。

なお今回の研究成果については、京大発ベンチャーのエネコートテクノロジーズにも技術移転され、高性能ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた開発研究が展開される予定だという。
(波留久泉)



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