理研、がんなどの疾患に関与する「DNAメチル化」を制御する仕組みを解明
マイナビニュース / 2024年8月20日 11時34分
続いて、CDCA7のDNA結合活性が調べられると、上述の3種類のDNAのうち、野生型CDCA7は、ヘミメチルDNAに強く結合したが、ICF変異CDCA7ではいずれのDNAに対しても結合が認められなかったとした。
さらに、CDCA7とHELLSの細胞内における局在を免疫染色を使って調査。マウスES細胞で調べた結果、CDCA7、HELLS共にある頻度で、染色体のセントロメア(動原体)と隣接する「ペリセントロメア領域」に局在していたほか、両タンパク質共に、同領域のDNAが複製するタイミングである細胞周期のS期中~後期にある細胞で、同領域への局在が観察される割合がピークを迎えることが確認された。
最後に、Cdca7遺伝子をノックアウトしたマウスES細胞に、野生型CDCA7またはICF変異CDCA7(以下、(2))を発現させ、それらの細胞内局在が調べられた。その結果、野生型CDCA7は、複製が進行しているS期中~後期のペリセントロメア領域に局在しており、同じタイミングで同領域にHELLSも局在していた。一方、(2)は、細胞核内に局在していたものの、同領域への局在は認められず、HELLSの同領域への結合もほとんど認められなかったとした。さらに、ヘミメチルDNAの量を増やすと、CDCA7、HELLSとも同領域への局在と、その強度がさらに高進することが判明した。
以上の結果より、同複合体は、CDCA7のC末端ZnFによるヘミメチルDNA認識を介して、DNA複製の際に形成されるヘミメチルDNAに集積することが解明された。このことから、HELLSの作用によってヒストンが移動し、そこに、DNA維持メチル化酵素がDNAに誘導され、ヘミメチルDNAが順次メチル化されることが考えられるとしている。
今回の研究成果で明らかにした同複合体のDNAメチル化制御の仕組みは多くの生物に共通していると考えられ、その普遍性から生命現象の理解に貢献するとが期待できるという(実際に研究チームは、植物も同様の仕組みを持つことを確認済み)。研究チームは今後、新規DNAメチル化への関与など、同複合体の性質をさらに詳細に解析し、DNAメチル化制御のメカニズムを明らかにしていくとしている。
(波留久泉)
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