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カレー沢薫の時流漂流 第313回 「パパはいつも寝ている」けど、どうせ大人はいつも怒っている

マイナビニュース / 2024年8月19日 15時30分

画像提供:マイナビニュース

服装に頓着がない、かと言ってユニクロ一択にする潔さもない俺たちから勝手に所有物扱いされがちな「俺たちのしまむら」が、子供向け用品「バースデイ」の新商品に「パパはいつも寝ている」「パパは全然面倒みてくれない」などの文言を入れたことが差別的であるとして炎上、謝罪と商品の発売中止を余儀なくされたそうだ。

炎上商法、もしくは炎上してでも今の社会に一石を投じたいというコンセプトでないなら、単純に戦略ミスだ。

今の世の中パパだろうがママだろうが、一定の層に対しネガティブなことを言うのは悪手であり、ガガですらディスれば約一名の逆鱗に触れる可能性がある。

○呼吸を止めて一秒、だけであなた抗議されちゃうかもよ?

だからと言ってポジティブなことを言っておけばよい、というわけでもない。

仮に「パパ仕事も育児もありがとう」みたいな文言だったとしても、ママだってかなり前から仕事と育児の両立を課せられているのに、何故パパだけ感謝されているのか、そもそも自分の子どもを育てるのは当たり前だろう、という抗議が上がっていただろう。

かつてギャートルズを起用した「ひむかのくろうま」のCMですら、「とっつぁんはえらい」というキャッチフレーズに「かっつぁんもえらい」という文言が付け加えられていた。

数十年前ですら、父と母、どちらかを持ち上げたり下げたりする行為は危険球だったのである、令和でそれをやるのはもはや投げる前から当たっている死球と言っていいだろう。

つまり、特定の層をディスれば当然その層が怒るし、褒めればそれ以外の層が「じゃあ我々は頑張っていないというのか」と怒り出す可能性もある、ということだ。

もはや属性を絞って言及すること自体が危険であり、全てのリスクを避けようとしたら「全員息してるだけでエライ」しか言えなくなってきているということだ。

それすら光合成勢から抗議される可能性がゼロではないが、植物様はどう見ても人間より寛大であり、気孔でちょっと呼吸しているからおそらく大丈夫だろう。

ともかく言葉からポイズンを排除した結果、さらにポイズンな世の中になったという皮肉である。
○そこから何にも言えなくなって、そんな時代にこんにちは

よって、しまむらの商品が批判されるのは仕方ないが、頻発する抗議&中止のコンボに対し何でも抗議してやめさせれば良いというわけではないだろう、と最近の風潮に辟易する声もあがっている。

確かに、エンタメ界もポリコレをクリアすることに注力しすぎて肝心のエンタメとしての面白さが損なわれているという話をよく聞く。

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