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証言「伊藤匠という人」— 寡黙な男の雄弁なる指し手—【ダイジェスト版】

マイナビニュース / 2024年8月20日 11時30分

画像提供:マイナビニュース

第9期叡王戦で伊藤匠が藤井聡太を破り、新叡王を手にしました。と同時に昨年秋から続いてきた八冠独占も崩しました。新たに生まれた伊藤匠というスターはどのような人物なのでしょうか。

本稿では、周囲のさまざまな人による証言から伊藤匠という人物像に迫った2024年8月2日発売の『将棋世界2024年9月号』(発行=日本将棋連盟、販売=マイナビ出版)の特集「証言 伊藤匠という人―寡黙な男の雄弁なる指し手―」より、一部を抜粋してお送りします。

兄弟子である、斎藤明日斗五段、本田奎六段。そして幼少期より伊藤叡王とはライバルであり友人でもあった川島滉生さん、師匠である宮田利男八段、父親の伊藤雅浩さんの談話やコメントをお送りします。

(以下、記事より抜粋)
○斎藤明日斗五段 「いつか絶景の舞台で」~6月20日のこと

「とりあえず落ち着こう」。斎藤明日斗はそう思った。そして一人暮らしの部屋を掃除し始めた。台所周りをきれいに洗い、掃除機で埃を吸う。溜まっていた洗濯を済ませ、一つ一つを丁寧に干していく。そうしながら頭の中で、AbemaTVで観た出来事を振り返った。 

叡王戦第5局、勝ったのは同門で弟弟子である伊藤匠だった。小さい頃から師匠の教室で共に将棋の研鑽を積んできた。(中略)師匠の宮田はほとんどの子にはダジャレを言って、ニコニコしながら相手していた。だが、ある少年の前では立ち止まる時間が長く、口調も明らかに厳しい。少年は斎藤より4歳下の伊藤匠だった。

「あの子には何かあるんだろうな」子ども心にそう感じられた。その彼が、タイトル戦無敗を続けていた絶対王者から叡王を奪取した。同門として喜ぶべきことだが、すぐには気持ちの整理ができない。

○本田奎六段「達観からの再出発」~もう一人の怪物

今回、伊藤が藤井の全冠制覇を崩したことで、棋士の中で神格化された藤井への認識は変わるのだろうか? 
「確かにそういう意見もありますね。でも自分は伊藤くんに勝てるのか?と言われたら、人間じゃない存在がもう一人増えただけな気がします。将棋の力という意味で」

本田が伊藤と初めて指したのは、自身が奨励会を受験する時期だったという。伊藤は小学1年生だったが幼い感じで、本田の中では幼稚園生の印象だった。「自分が上手の二枚落ちで指したのですが負かされました。普通は奨励会を受ける者が、その手合いであんな小さな子に負けることはないんです。すごいビックリした記憶がありますね」

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