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吉川明日論の半導体放談 第310回 データセンター市場で明暗分かれるAMDとIntelの決算

マイナビニュース / 2024年8月20日 6時35分

Intelは現在、ファウンドリービジネスの基礎固めをしており、巨額の設備投資が続く。本業での売り上げが伸びない状況は今後の運営に大きなプレッシャーをかけることになる。
独走を続けるNVIDIAの新製品Blackwellに問題が発生か?

AIブームに乗って独走するNVIDIAであるが、最近、次期製品「Blackwell」に技術的な問題が発生して、2024年後半の出荷開始予定が3か月ほど遅延するとの予測記事が海外メディアに掲載された。

その記事によると、製造プロセスのかなり後半の部分で不具合が確認され、製造への影響を避けるために改良を施すという。記事では“Design Flaw(設計上のミス)”と表現されているこの不具合の具体的な内容は不明であるが、現行製品のH100シリーズが恒常的に品薄状態で、価格の高止まりが続いている現状では、NVIDIAの今後の売り上げ全体には大きな影響はないだろうという予測が出されている。しかし、この事態は基盤を含むアクセラレーター・サブシステムを構成する他の多くの部品サプライチェーン各社で構成されるNVIDIA経済圏には大きな影響を与えることが考えられる。また、Blackwell対抗製品としてMI325/350/400シリーズを準備するAMDには有利に働く。最近のクラウドサービス提供者はNVIDIA製品の高騰を受けて、NVIDIAに加えて、他の半導体製品で構成されたインスタンスを準備する企業も出てきている。AIアクセラレーターも選択の時代に入ってきているということだろう。
独占状態を嫌う半導体業界のエネルギー

技術革新で市場全体が疾走する半導体業界では、ある潮流が生まれるとあっという間にデファクト(標準)プラットフォームを形成し、独占企業が生まれる。

しかし、この業界では自然が真空を嫌うように、必ずそれに抗う挑戦者が次々と現れる。そのダイナミズムが業界全体に満ちるエネルギーの源泉だ。かつてメインフレームを牛耳ったIBM、そしてそれを崩したIntel、そして現在AIブームの潮流に見事に乗ったNVIDIAが独占状態を形成し、それをAMDが追いかける。MicrosoftやGoogleといったクラウドサービス巨大企業もNVIDIA製品の使用と並行しながら、自社開発のAIチップの開発に余念がない。

今後注目されるのが、世界最大の半導体市場を擁する中国企業の動きだ。安全保障上の脅威となるとの理由で、NVIDIA製品については中国への輸出規制がかかっている。闇ルートでのNVIDIA製品の取引が盛んとなっているという報道もあるが、中国企業による自社開発AIチップも登場している。現在最も有力なのはHuaweiが開発した“Ascend”と呼ばれるAIチップだ。そのパフォーマンスはNVIDIA製品には及ばないが、国産チップとしてBaiduなどの巨大プラットフォーム企業が本格的に使うことになれば、その量産による価格の低減は必至で、NVIDIA製品の強力な代替え品となる可能性もある。

AI半導体市場にはNVIDIA一社だけで抑えきれない巨大な膨張エネルギーが閉じ込められている印象がある。

吉川明日論 よしかわあすろん 1956年生まれ。いくつかの仕事を経た後、1986年AMD(Advanced Micro Devices)日本支社入社。マーケティング、営業の仕事を経験。AMDでの経験は24年。その後も半導体業界で勤務したが、2016年に還暦を機に引退を決意し、一線から退いた。 この著者の記事一覧はこちら
(吉川明日論)



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