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東大など、地球の「隠された貯蔵庫」がマントルの底に存在することを確認

マイナビニュース / 2024年8月21日 14時51分

加熱後の試料の断面が切り出されて観察が行われた。すると、中心に急冷凍結されたシリケイトメルト(マグマ)、その周りをブリッジマナイトが覆う構造が得られたという。その後、シリケイトメルトとブリッジマナイト中の微量元素(ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf))が定量され、それぞれの元素のブリッジマナイト/メルトの分配係数(D)が決定された。

その結果、過去の実験における下部マントル浅部の圧力下の結果とは異なり、マントル深部の圧力下では、D(Lu)>D(Hf)、D(Nd)>D(Sm)であることが判明。つまり、結晶化の進行によって基底マグマオーシャン中のマグマは、Luに比べてHfに、またNdに比べてSmに富むようになることが明らかにされた。このことから、時間の経過に従い、マグマは低いHf同位体異常、高いNd同位体異常を持つことになる。鉄に富むこのマグマがマントル対流に参加しない「隠された貯蔵庫」であるとすると、マグマを通じて地表で観察されるマントルはそれと相補的に、高いHf同位体異常と低いNd同位体異常を持つことになるとした。

実際、このようなマグマの同位体組成進化は、基底マグマオーシャン中の結晶化速度に依存する。現在、マントルの底に観測される、地震波の超低速度領域の体積が、基底マグマオーシャン由来のマグマ(結晶化が進んだ後の残りのマグマ)のものであるとして結晶化速度を見積もると、基底マグマオーシャン中のマグマを除いた残りのマントルのハフニウム-ネオジム同位体組成(マントルアレイ)の平均値は観測される範囲と一致するという。つまり、今回の研究により、マントルの底に観測される地震波の超低速度領域は、初期地球の基底マグマオーシャンの残渣(ざんさ)である可能性が高いこと、またそれは地表で観測されない「隠された貯蔵庫」であることが突き止められたのである。

地球に存在する量の一部について、行方がわからない元素はいくつもあるという。研究チームは今後、今回解明したマントルの底の地球化学的貯蔵庫に、どの元素がどれだけ隠されているのか詳細に調べていきたいとしている。
(波留久泉)



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