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NTT、アト秒光パルスの発生原理である高次高調波発生での偏光/波面形状の同時制御に成功

マイナビニュース / 2024年8月21日 15時13分

円偏光は波の振動が一定方向だけでなく、右回りや左回りして回転する状態であり、光渦は波面がねじれたような形状でビームが発生することを指す。

円偏光は、固体高次高調波発生の制御が比較的簡単だが、今回は、光渦状態まで同時制御できる光学実験系を考案しており、円偏光のガウシアンビームを、厚い一軸性結晶に対して、短い焦点距離のレンズで集光(タイトフォーカス)すると、光渦の光成分を発生して、特殊な偏光状態の空間分布を、物質内に実現できることに着目したという。

タイトフォーカスによって、結晶の厚み方向に対して斜め入射するビームの成分が、複屈折を起こすことから、通常は特殊な光学素子を必要とする光渦の生成を、簡便に行うことができたという。

「偏光、波面形状が固体結晶と合わせてひとつの対称性で特徴づけけられる状態を作ることで、発生する高調波の偏光と波面形状の同時制御を実現。偏光と波面形状と次数の関係性を決める単純な変換法則を導くことができる」と説明した。

実験では、固体結晶において高次高調波発生を起こし、変換される様々な波長の光の円偏光や光渦の状態の制御が実現していることが観測できたという。

波長2500nmの強い赤外フェムト秒レーザー光の円偏光ガウシアンビームを発生し、1軸性結晶である2mm厚のセレン化ガリウム(GaSe)結晶に、6mmの焦点距離のレンズを用いて集光。高次高調波発生を起こしたという。

集光したレーザー光の周波数の何倍も高い周波数に対応した赤や橙、青の光を偏光成分ごとに分解したのちに、発生した光をカメラで撮影。高調波のビームの空間形状を確認した。その結果、赤、橙、青などの様々な波長の高調波が得られ、波長や偏光成分に依存したビームの空間形状が観測できた。

また、タイトフォーカスしない際には、通常のビームの断面形状しか現れなかったが、タイトフォーカスした際には、ドーナツ状や風車状のビームの断面形状が観測されたという。ドーナツ形状は光渦の状態を示し、風車は異なる複数の光渦が同時に発生していることを示しており、これらの観測結果は、光の変換法則に従って、同時に制御された選択的な円偏光、光渦状態であることが明らかになったとしている。

今後の取り組みについて、NTT 物性科学基礎研究所の永井氏は、「既存のレーザー技術では簡単に発生できない波長の短いような光も生成できる技術になる。これに波面形状の制御を組み合わせることで、微小物質の光ピンセットや、レーザーによる微細な加工技術、細かいものを見る分光技術、光通信のOAM多重伝送にも応用できると考えている」とした。

大河原克行 1965年、東京都生まれ。IT業界の専門紙「週刊BCN (ビジネスコンピュータニュース)」の編集長を務め、2001年フリーランスジャーナリストとして独立。電機、IT産業を中心に幅広く取材、執筆活動を行う。著書に「ソニースピリットはよみがえるか」(日経BP社)、「松下電器 変革への挑戦」(宝島社)など。 この著者の記事一覧はこちら
(大河原克行)



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