1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

東工大など、超低電圧の青色有機ELの実現につながる適切な材料を発見

マイナビニュース / 2024年8月22日 18時47分

次に、界面相互作用が電子移動に与える影響を考慮するため、「光電流応答スペクトル」より電荷移動吸収が観測され、各デバイスの分子間電荷移動相互作用の評価が行われた。電子移動の駆動力が同程度である場合には、分子間電荷移動相互作用の強い組み合わせほど、効率的に電子移動できることが示唆されたという。

電荷移動吸収はドナー/アクセプター間の距離や分子配向、分子軌道の形の情報を含むため、電荷移動吸収強度はドナー/アクセプター間の電子カップリングが反映されている。そこで、発光効率を電荷移動吸収強度で割ることによって、電子カップリングで規格化した電子移動効率が得られる。ここで、「半古典的マーカス理論」(分子内振動による量子効果を取り入れた、電子移動を記述するための理論)に基づいて、プロットの形よりフィッティングが行われたところ、0.1eV以下の再配向エネルギーで実験結果をよく再現できることが確認された。これは、小さな再配向エネルギーに由来して、0.1eV以下の駆動力で電子移動が促進されていることを意味するとした。

最後に、探索された材料系の中で最も効率の良かった組み合わせについて、デバイス構造の最適化が行われた。その結果、1.5V乾電池1本で青色発光が得られたことに加え、従来までの3.3%よりも高い4.0%の最大外部量子効率が達成されたとした。

今回の研究成果は、超低電圧青色有機ELだけでなく、光アップコンバージョンの材料選択指針にもなり、エネルギー利用効率の高い社会の実現に資するといえるとした。また研究チームは今後、今回の研究で得られた知見をもとに新しい材料の探索を行い、市販の青色有機ELと同程度の発光効率の達成を目指すという。これにより、従来よりも大幅な消費電力の低減が可能となるとしている。
(波留久泉)



この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください