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中国版スターリンク「千帆星座」、最初の衛星が打ち上げ成功 - 将来は1万5000機に

マイナビニュース / 2024年8月26日 10時2分

衛星の開発は、中国科学院の傘下にある微小衛星革新研究院が担当した。衛星1機あたりの質量は約300kgで、スターリンクのように平べったい形をしており、積み重ねるようにしてロケットに搭載できる。これにより、打ち上げの準備作業や、打ち上げ時のロケットからの分離、展開を容易にしている。

太陽電池は一翼式で、推進システムにはクリプトンを推進剤とするホール・スラスターを搭載している。一般的に、電気推進エンジンの推進剤にはキセノンが用いられるが、高価なうえに入手が難しいという欠点がある。同研究院によると、クリプトンを使うことで、コストを10%~20%に削減することができたという。

通信機器はKu、Q、Vバンドに対応している。

設計寿命は7年が予定されている。また、衛星には自律的な状態管理とトラブルシューティング機能があり、さらに回復不可能な問題が発生した場合には、衛星が自ら軌道から外れるようになっているという。

平べったい衛星の形状、クリプトンを使った電気推進、自律的な運用システムなどは、スターリンクの、とくに第1世代機に似ており、ベンチマークとして参考にしたことがうかがえる。

微小衛星革新研究院は、第1段階において半分の324機の衛星を開発する。残り半分は、上海格思航空宇宙技術という別のメーカーが担当するという。

衛星インターネットの大競争時代へ

低軌道コンステレーションによる衛星インターネットをめぐっては、前述のようにスペースXのスターリンクが先行している。すでに6000機以上の衛星が稼働中で、日本を含む世界中でサービスが始まっている。衛星数は、将来的には1万2000機、あるいは3万機以上にまで増える可能性がある。

また、英国ロンドンに拠点を置く「ワンウェブ(OneWeb)」も、600機超の衛星が稼働中で、主に政府機関向けにインターネット・サービスを提供している。

さらに、米Amazonも独自の衛星インターネット「プロジェクト・カイパー」の開発を進めており、試験衛星を使った試験や、実運用機の製造が続いている。

中国国内に限っても、中国政府が旗振り役となって「国網」と呼ばれる衛星インターネットの開発が進んでいる。半官半民の千帆星座とは違い、完全に国策である点が特徴である。すでに何機かの試験衛星が打ち上げられており、まもなく実運用機の打ち上げも始まるものとみられる。完成時には、衛星数は1万3000機にもなるという。

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