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東大、周囲の溶液の濃度勾配で動く液滴を作製しその速度制御を実現

マイナビニュース / 2024年8月26日 19時44分

さらに、ランダムに広がったCoil状態DNAを取り込んだ液滴の運動速度が、DNAなしの場合と比べて約半分に遅くなることも見出された。この速度低下は、塩化マグネシウム(MgCl2)の添加によるDNAの構造転移(Coil-Globule転移)により制御でき、DNAをCoil状態から凝縮したGlobule状態へ変化させることで、DNAなしの場合と同様の運動速度へ戻ることも確認された。

今回の研究により、液滴を駆動させる液滴表面に働く界面張力は、DNAの取り込みや構造転移により変化しない一方、粘性抵抗を生むDEX相の動粘度は、Coil状態のDNA共存時のみ顕著に大きな値を持つことが判明した。Coil状態のDNAはDEX液滴内に広がって対流する一方、Globule状態のDNAは液滴後方に凝集して対流しないことから、Coil状態のDNAを含むDEX液滴の大きな動粘度が、液滴の運動速度低下の原因であると結論付けられた。

DNAの構造は、多価イオンなどの添加によって可逆的に変化させることが可能だ。そのため、今回作成された動く液滴は、外部からの刺激による速度変化が可能であり、これを生体内で薬物輸送する微小ロボットとして活用することが期待されるという。また研究チームは今回の発見について、近年注目される細胞内での液-液相分離により形成される液滴が、細胞質対流や不均一な濃度場下で示す振る舞いの理解へも貢献するとしている。
(波留久泉)



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