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阪大など、量子シミュレーション性能を向上させる「局所仮想純化法」を開発

マイナビニュース / 2024年8月26日 20時10分

熱平衡状態のように自然界にて普遍的に実現される状態では、局所性に密接に関連した概念である「クラスター性」と呼ばれる性質が広く成り立つと信じられている。クラスター性とは、遠く離れた2地点間での実験結果は相関を持たないという性質のこと。量子シミュレーションにより生成される状態がこのような性質を持っていれば、遠く離れた地点において蒸留により純度を高める操作は、出力結果に何の影響も及ぼさないことになる。つまり、着目する領域から遠く離れた地点の純度を高める操作は不要であり、全域的ではなく局所的にのみ蒸留することで、従来の測定回数の指数関数的な増大の問題を解決できることが期待できるとした。

今回の研究では、上述の期待が現実となるような理論的な条件が解明された。具体的には、冷却やノイズ緩和タスクに局所仮想純粋化法が適用できるための条件、つまり局所的に制限された蒸留操作が数学的に正当化される条件が示された。加えて、条件が完全に満たされない場合であっても、局所的な操作への置き換えが依然として有効であることが数値的に示された。さらに、先行研究で独立に提唱された冷却とノイズ緩和タスクを同時に実行可能であることも提案し、このタスクを全域的ではなく局所的なものに置き換えることができることも数値的に示したとした。

今回の研究により、現実的な測定回数で量子シミュレーションの実験的な限界を破ることが可能になったという。これは、量子シミュレーションの実用化に向けた重要な一歩であり、幅広い科学分野での応用が期待されるとした。今後の方向性として、トポロジカル秩序の検出や量子カオス性を特徴付ける量の測定など、冷却とノイズ緩和以外への応用が考えられるとする。これらの量は先行研究において、もつれ測定を用いて検出する手法が提案されているため、局所仮想純化法が適用可能であることが期待されるとした。同手法によって量子優位性が達成できれば、量子シミュレーションによって未解明の量子多体現象の理解が進み、幅広い分野に貢献することが期待できるとしている。
(波留久泉)



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