『夏目アラタの結婚』原作者が実写化OKした理由に「ガタガタの歯」再現 映画独自の展開も自ら提案
マイナビニュース / 2024年8月27日 12時8分
真珠の歯という課題を乗り越えたが、さらに制作するうえでもう一つの問題があった。脚本に着手する時点でまだ原作漫画が連載中だったことだ。そこで、本作のテーマやキャラクターの背景についてじっくりとミーティングする時間が設けられた。「単行本で9巻に入ったあたりだったでしょうか、古林Pに今後の展開について詳しく教えてほしいと言われました。当然その時点でラストまでの構想はあったのですが、話してしまうと『伝えた通りの展開にしなきゃ……』と自縛に陥る可能性が高いと思いました。キャラクターは生き物なので心情次第で展開が変わることはよくあるのですが、『こっちの展開の方が良いけど、映画の方には違うこと言っちゃったから変えづらいなあ……』なんて悩むのは、何より漫画を追いかけてくれている読者には不幸なことだと思うのです。そんなわけで映画のチームには後半の展開を自由に作っていただく事にしました」と、乃木坂氏はあえて映画独自の展開になるように提案したと語る。
「ピエロメイクの色とか、意外なほど細かい点について原作者の意見を求められましたがそこは全てチームが良いと思う方向性で、とお任せしました。誰かの意見で物を作るのって自分は大嫌いだから、映画のチームにもそうあって欲しかったんです」という乃木坂氏の意思を受けて、制作陣はこの作品のテーマは“結婚とはなにか”であり、未知の人物について知ろうとすることの怖さや人間同士のやりとりを描いた大きい意味での“ボーイミーツガール”の話である、というヒントをもとに、未完の物語のゴールに向けて脚本をブラッシュアップさせた。
そうして完成した本作を見た乃木坂氏は「面会室の掛け合いを見ると2次元が3次元になる化学変化が起こっていて、なるほどなと膝を打ちました」と絶賛。さらに、そのクライマックスを迎えた後に流れる主題歌のオリヴィア・ロドリゴによる「ヴァンパイア」の歌詞を、乃木坂氏が「夏目アラタの結婚」の世界観に合わせて自ら意訳監修。一人称が真珠と同じ“ボク”となっているなど、本編を見終わった観客を最後までゾクゾクさせる仕掛けとなっている。
原作者・乃木坂氏の協力もあってついに完成した映画『夏目アラタの結婚』。乃木坂氏は「制作、監督、脚本、撮影、照明、衣装、美術、記録、音楽、主演者の方々など、全ての映画に関わった方々に感謝します。 漫画と映画のふたつの『夏目アラタの結婚』、どちらも楽しんで頂けたら幸いです」とメッセージを送っている。
(C)乃木坂太郎/小学館 (C)2024映画「夏目アラタの結婚」製作委員会
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