1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

東大と理研、新たな計測手法で大脳皮質運動野の神経活動の変化を観察

マイナビニュース / 2024年8月27日 16時54分

画像提供:マイナビニュース

東京大学(東大)と理化学研究所(理研)の両者は8月26日、小型霊長類「コモンマーモセット」の大脳皮質運動野の神経活動を、長期的かつ高空間解像度に計測できる手法を確立することで、新規の「感覚運動学習」によって高次の運動野である「背側運動前野」(PM)で大きな運動情報表現の変化が生じていること、その一方で低次の運動野である「一次運動野」(M1)での表現は比較的安定に保たれていることを明らかにしたと共同で発表した。

同成果は、東大大学院 医学系研究科 細胞分子生理学分野の蝦名鉄平講師、同・松崎政紀教授(理研 脳神経科学研究センター(CBC) 脳機能動態学連携研究チーム チームリーダー/東大大学院 理学系研究科 生物科学専攻 教授兼任)、生理学研究所の小林憲太准教授、東大大学院 医学系研究科 統合生理学分野の大木研一教授、理研 CBC 高次脳機能分子解析チームの山森哲雄チームリーダー(現・CBC 触知覚生理学研究チーム 客員主管研究員)、理研 CBC 触知覚生理学研究チームの村山正宜チームリーダーらの共同研究チームによるもの。詳細は、英オンライン科学誌「Nature Communications」に掲載された。また、今回解析された画像データは、革新脳データポータルサイト「Brain/MINDSデータポータル」にて一般公開中としている。

脳の大脳皮質の運動野では、ある感覚入力からその感覚に特異的な運動を行う感覚運動学習中に、学習に関連した神経活動の変化が起こる。しかし、学習による個々の運動野領域に特徴的な神経活動の変化や、同一神経細胞の活動の変化については、これまで未解明だったという。そこで研究チームは今回、コモンマーモセットに新規の視覚入力に対して特定の運動を実行させる課題を学習させ、この感覚運動学習の最中に大脳皮質運動野を対象として、高い空間解像度で神経活動を計測できる「カルシウムイメージング」を適用する方法の開発を目指したとする。

まずはマーモセットに対し、2種類の到達運動課題の学習が行われた。学習期間中は、運動野で高次のPMと低次のM1の神経活動が計測された。そして解析の結果、神経活動の流れの向きは学習期間中安定して、PM吻側部(PMdr)→PM尾側部(PMdc)→M1となっていることが判明した。

次に運動情報量が計算され、その変化が調べられた。すると、PMdrでは運動情報量が減少する一方で、PMdcとM1では学習による運動情報量の変化が見られず、学習期間を通してPMdrよりも高い値が示されていたとのこと。そこで、運動方向選択性をPMdcとM1でそれぞれ調べた結果、学習期間中にPMdcで大きな選択性が変化している一方で、M1では選択性が比較的安定に保たれていることが解明されたという。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください