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東大と理研、新たな計測手法で大脳皮質運動野の神経活動の変化を観察

マイナビニュース / 2024年8月27日 16時54分

次に、PMdcやM1の単一神経細胞の神経活動を学習中に計測し、同一細胞の運動情報表現の変化が調べられた。すると、上述の計測で検出された大域的な神経活動の変化と一致した活動変化を、個々の単一神経細胞が示すことが確かめられたとのこと。またPMdcでの運動方向選択性の変化の程度は、学習初期の運動の上手さと関係していたとする。

さらに、PMdcとM1の神経細胞集団の空間分布と運動方向選択性の関係を調べた結果、学習の後期では、同じ運動方向選択性を持った神経細胞が空間的に密集したクラスタ構造は、PMdcよりもM1でより強固に形成されていることが見出された。そこで、同クラスタ構造が学習中に形成されるのかを調べると、PMdcでは学習初期にはクラスタ構造が強いものの学習中にこれが弱くなること、その一方でM1では学習に関わらず一定の強いクラスタ構造が形成されていることが確認された。

以上の結果から研究チームは、PMdrで連合が学習初期に強く起こり、その後学習が進むにつれて、PMdcにおいてダイナミックな細胞活動再編成が起こることで、PMdrの新規感覚運動連合の信号を安定的な多方向への運動出力を行うM1の活動へ変換できるようになることが、新規の感覚運動学習に重要であることが示唆されたとした。

今回の結果のように、新規の視覚入力に対して特定の運動を実行させる学習中に脳の全領域の活動パターンを変化させず、一部の領域のみで活動をダイナミックに変化させることは、新しいルールを迅速かつ効率的に学習するために有効であることが考えられるという。そのため、今後のさらなる研究によって霊長類大脳皮質を対象とした感覚運動学習のメカニズム解明が進めば、これらの知見を基にした脳型人工知能の開発が期待されるとする。また研究チームは、今回確立された技術によって、疾患モデルマーモセットを対象とした同様の計測を実施することで病態脳における神経ネットワーク変容の理解が進み、神経疾患に対する新たな治療方法の開発も期待できるとしている。
(波留久泉)



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