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長岡技科大など、温度による微細な構造変化を解析する一分子計測技術を開発

マイナビニュース / 2024年8月27日 18時18分

画像提供:マイナビニュース

長岡技術科学大学(長岡技科大)、東京大学(東大)、東北大学の3者は8月26日、単一タンパク質の温度による微細な構造状態の変化を解析する新たな一分子計測技術を開発したと共同で発表した。

同成果は、長岡技科大 産学融合トップランナー養成センターの山崎洋人産学融合特任講師、同・大学 工学専攻 機械工学分野の海藤光太大学院生(研究当時)、同・松田杏介大学院生(研究当時)、同・大学 機械創造工学課程の加藤拓学部生(研究当時)、東北大 流体科学研究所の馬渕拓哉准教授、東大大学院 理学系研究科の上村想太郎教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、米国化学会が刊行するナノサイエンスとナノテクノロジーの全般を扱う学術誌「Nano Letters」に掲載された。

一分子計測技術は、ナノメートル(100万分の1mm)からオングストローム(1000万分の1mm)スケールの分解能で生体分子の動的構造を調べることができる解析ツール。しかしその多くは、タンパク質などの標的分子を化学的に修飾する前処理が必要で、時間と費用がかかることや、その化学的修飾が生体分子の機能に影響を及ぼす可能性があることも課題とされている。

その解決手段として開発された「ナノポア計測」では、シリコン材料に直径わずか数nmの細孔であるナノポアに印加電場をかけることにより、その内部に流れ込むイオンの量(イオン電流)を測定する。生体分子がナノポアを通過するとイオン電流が遮断されるが、この時の遮断電流を解析することで分子構造を調べることが可能となっている。

一般的にタンパク質の構造特性は、温度依存的な構造変化で評価されているが、これまでにナノポア計測を用いたタンパク質の構造解析研究では、それを調査した研究はないという。そこで研究チームは今回、最適なナノポア加工方法を検討し、感度の高い非対称薄型ナノポアの加工を実現。それにレーザー加熱を用いた温度コントロール技術である「ナノポアサーモスコピー法」を活用し、細胞のエネルギー生産において重要なタンパク質である「シトクロムc」の、温度による構造変化を評価することにしたとする。

今回の研究では、シトクロムcを検出するにあたり、長岡技科大の山崎講師が独自開発した「レーザーエッチング破断法」を用いて、窒化シリコンナノ薄膜上に直径わずか数nmのナノポアが加工された。同加工では、膜厚50nmの窒化シリコンナノ薄膜に青色レーザーを照射し、同時に電圧を印加することで、窒化シリコンナノ薄膜の照射された箇所だけが徐々に薄くなり、最終的に破断現象によりナノポアが作製されるというもの。今回の研究では、ナノ薄膜の上面・下面での薄膜化するスピードが異なるpH条件下で加工を行うことで、感度が高く、非対称かつ薄型のナノポア(非対称薄型ナノポア)の加工が可能になったという。

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