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長岡技科大など、温度による微細な構造変化を解析する一分子計測技術を開発

マイナビニュース / 2024年8月27日 18時18分

ナノポアが非対称薄型形状であることは電流特性から確認できており、ナノポアによりシトクロムcが検出された。その解析の結果、電流遮断率50~60%の領域に最大1ミリ秒程度の遮断電流波形が現れ、通常のナノポア計測では得られない通過特性が見られたとする。具体的には、シトクロムcがナノポア上面で捕捉されることで一定時間滞留した後に、ナノポアを通過する様子を示すことが電圧依存性から確認された。このような通過過程を経ることで、通常の検出方法よりも長い時間をかけて解析ができるため、より詳細な生体分子の構造情報を得られるようになったとする。

このアプローチを用い、シトクロムcの温度依存的な構造変化が調べられた。ナノポア付近の温度制御のため、ナノポアサーモスコピー法が活用された。これは、窒化シリコンナノ薄膜に可視光レーザーを照射すると薄膜が光を吸収する特性を利用することで、レーザー照射領域の温度調整を瞬時に行うことができるという技術。同技術によりナノポア近傍の温度が上昇させられたところ、電流遮断が大きくなる様子が観察されたとした。分子動力学シミュレーションを用いて、シトクロムcの構造変化が詳細に解析されたところ、同タンパク質の「αヘリカル構造」(タンパク質を構成する構造の1つで、右巻きらせん構造をとる)が加温によって変性することにより、電流遮断が増加することが示されたという。

シトクロムcの構造変化は、細胞のアポトーシス(プログラムされた細胞死)に関係するため、今回の研究成果は、生命現象の解明への貢献が期待されるとする。それに加え、わずかなαヘリカル構造の変性の検出に成功したことから、今回開発された技術は、タンパク質の折れ畳みメカニズムや、修飾塩基によるDNA・RNA構造解析など、生体分子の構造解明への研究を促進し、基礎生命科学のみならず、医学や創薬分野にも大きな貢献をもたらすことが期待できるとしている。
(波留久泉)



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