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理研、他者の選択などを予測して自らの意思決定に活かす脳回路の働きを解明

マイナビニュース / 2024年8月27日 19時1分

これらの行動データの解析に基づいて、他者選択の予測に基づく意思決定の脳回路の調査が行われた結果、他者がどちらの選択をするのかを予測した「他者の選択の(予測)確率」に関する脳活動が、左半球の「扁桃体」に発見された。さらに、二択の他者選択のうち、他者のありそうな選択の予測から自己の報酬量に基づいて自らの選択の判断に関する脳活動が「後帯状皮質」で、その反対になさそうな場合の脳活動が「右背外側前頭前野」で、それぞれ初めて発見された。そのほか、自己の報酬量だけではなく、各選択肢での報酬の実現確率も踏まえた、最終選択に関わる主観的価値は「内側前頭前野」の活動が対応することを確認したとする。

次に、以上の脳活動の関係を調べるコネクティビティ分析が行われると、(左半球の)扁桃体→後帯状皮質と、右背外側前頭前野→内側前頭前野の3段階のステージのように、脳活動が順次影響を及ぼす脳回路が同定されたという。さらに、扁桃体の活動が後帯状皮質の活動に及ぼす影響がプラスの方向であるのに対し、右背外側前頭前野の活動に及ぼす影響はマイナスの方向であることも判明したとする。

これらの脳回路は、ヒトの直観的な理解にも整合するという。たとえば、他者選択の予測に確信が持てる時には、後帯状皮質の脳活動が促進され、右背外側前頭前野の脳活動が抑えられることを意味する。つまり、扁桃体→後帯状皮質→内側前頭前野で主導される情報処理が相対的に促進されて意思決定が行われる。

反対に、他者選択の予測に確信が持てない時には、他者のありそうな選択に基づく意思決定だけではなく、他者のなさそうな選択に基づく意思決定も相対的に勘案されるような調整が回路に働いていることがわかった。つまり、扁桃体→後帯状皮質→内側前頭前野の経路だけではなく、扁桃体→右背外側前頭前野→内側前頭前野も相対的に利用する度合いが高まって、この2つの意思決定を最終的に統合して意思決定が行われるのである。

今回の成果は、社会性脳機能に関わる基礎研究や社会性に関わる脳疾患の機序の解明と治療法の開発、社会知性を人工的に実現しようとするAI研究などの分野で活用されることが期待されるとしている。
(波留久泉)



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