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名大など、期待の鉄系超伝導体材料「Ba122:K」の粒界特性を確認

マイナビニュース / 2024年8月28日 18時29分

今回の研究では、特殊な成膜手法を用いたBa122:Kの人工粒界の作製技術を確立し、さまざまな結晶ずれ角を持つ人工粒界が作製された。今回作製されたBa122:Kの人工粒界は、結晶のずれ角が24°でも、最大で1cm2あたり100万アンペア(A)もの超伝導電流を許容することが解明された。鉄系超伝導体の臨界角度は9°程度とされているが、その倍以上の角度でも高い超伝導電流を流せることが示され、従来の常識を覆す重要な発見となったとした。

この発見の背景には、粒界近傍に現れる特異な微細構造が関与していることが考えられるという。単一粒界部分を特殊な電子顕微鏡で構造観察した結果、局所的に小角度の結晶ずれが積み重なることで粒界が形成されていることが明らかになった。これにより粒界弱結合の影響が限定的となり、24°という大きな結晶ずれ角においても高い超伝導性能が維持されることが可能となったと考えられるとした。このような自己組織的な粒界の緩和が、Ba122:K多結晶において他の材料を凌駕する高い超伝導特性が得られる1つの要因と推測された。

今回の研究成果は、Ba122:Kの高い超伝導性能を理解する上での重要な特徴が解明されただけでなく、粒界弱結合問題を抱える他の高温超伝導体に対して、新たな解決策を提供する可能性があるという。研究チームは今後も、今回の研究を基に超伝導材料の産業応用に向けたさらなる研究を進め、社会に貢献する技術の開発に取り組んでいくとしている。
(波留久泉)



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