1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

有人帰還を断念、ボーイングの新型宇宙船「スターライナー」を襲った問題とは?

マイナビニュース / 2024年8月29日 7時15分

画像提供:マイナビニュース

●NASAが下した「過去の過ちは繰り返さない」という決断、その理由と背景
米国航空宇宙局(NASA)は2024年8月25日、問題が発生しているボーイングの新型宇宙船「スターライナー」の状況について記者会見を開催し、宇宙飛行士を乗せたミッション継続を断念し、無人で地球に帰還させると発表した。

スターライナーは6月に打ち上げられ、国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングしたものの、その前後で推進システムに問題が発生した。原因究明と対策が進められてきたが、NASAは最終的に「宇宙飛行士の安全が保証できない」と判断した。

乗組員の2人の宇宙飛行士は、来年2月、別の宇宙船で帰還するという。

スターライナー有人飛行試験(CFT)

スターライナーの有人飛行試験(CFT)は、今年6月5日、ISSに向けて打ち上げられた。宇宙船には、NASAのバリー・ウィルモア宇宙飛行士と、同じくNASAのサニータ・ウィリアムズ宇宙飛行士の2人が搭乗しており、約8日間宇宙に滞在したのち、地球に帰還する予定だった。

CFTは、スターライナーの開発にとって、最後の重要な試験と位置付けられている。このミッションが成功すれば、NASAから認証が得られ、次の飛行からは4人の宇宙飛行士を乗せて、地球とISSとの間を往復する商業輸送ミッションが始まることになっていた。

しかし、打ち上げ前には、姿勢制御スラスター(RCS)を加圧するためのヘリウムが漏れ出す問題が発生し、延期を重ねた。ヘリウム漏れは打ち上げ後にも再発した。さらに6月6日、ISSにドッキングする際には、RCSのうち5基が機能を停止する問題に見舞われた。その後、1基を除いて復旧し、予定より遅れたもののドッキング自体は成功した。

NASAとボーイングは、ヘリウム漏れの問題と、RCSの問題について、データの分析や地上での試験を含め、徹底した原因究明と、対応策の検討に当たった。その間、ミッション期間は延び続け、2か月以上が経過した。

そして8月25日、NASAは最終的に、宇宙飛行士を乗せて、安全に地球に帰還できるかどうか保証できないとし、有人での飛行試験の継続を断念判断し、スターライナーは無人で地球に帰還することにしたと発表した。

具体的な帰還計画は、8月28日から29日にかけて行う審査のあとに最終決定するとしたうえで、今年9月上旬ごろに帰還する予定だという。なお、現在のスターライナーは、完全な自律飛行はできない作りになっており、今後ソフトウェアの更新などが必要になる。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください