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阪大、植物の光合成への影響が少ない緑色光で発電する有機太陽電池を開発

マイナビニュース / 2024年8月29日 16時29分

植物は、太陽光エネルギーを利用してCO2と水から有機物(主にグルコースなどの糖)を合成し、酸素を放出するプロセスである光合成を行うことが知られている。光合成により太陽光エネルギーを吸収するためには、クロロフィルa、同bなどの光合成色素が必要だが、それらの色素は青色や赤色光を選択的に吸収する特性を有している。つまり、植物は緑色光を利用しないため、その波長の光を選択的に得る太陽電池を用いることができれば、発電しつつ、植物の光合成にも影響を与えないということになる。

有機太陽電池に緑色光波長選択性を持たせるためには、約2.00~2.50eV程度、かつ、同じ大きさのエネルギーギャップを持つドナー材料とアクセプター材料の組み合わせが必要だ。そこで研究チームは今回、緑色波長選択的な吸収を示す安価なドナー材料である「ポリ(3-ヘキシルチオフェン)」(P3HT)と、阪大で見出された緑色光波長選択的なアクセプター材料「FNTz-FA」を組み合わせることで、緑色光波長選択型有機太陽電池の高性能化を目指すことにしたという。

そして、開発された緑色光波長選択型有機太陽電池を用いて、イチゴを用いた光合成速度評価やトマトを使った予備的な農業評価が実施された。その結果、緑色光波長選択型有機太陽電池の農業用途の可能性が期待できる結果が得られたとした。

今回の研究成果により、青色と赤色光を農業、緑色光および近赤外光を発電に用いる「ソーラーマッチング」に基づく波長選択型有機太陽電池により、農作物生育に悪影響を与えることなく農業用ハウスに電力を供給できる、エネルギー地産地消の新しい営農型太陽光発電技術の確立が期待されるとする。

なお今回の成果によって、(1)同一農地における発電と農業の完全両立、(2)太陽光エネルギーを活用した地産地消型発電技術の実現が視野に入るようになったという。高性能化した緑色光波長選択型有機太陽電池は、国土への悪影響を与えることなく、エネルギーと食料、両方の持続可能な生産拠点を実現する革新的なエネルギー源であり、日本の社会課題である「GHG削減と食料供給の安定確保」の解決に貢献するとしている。
(波留久泉)



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