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東工大など、フッ素の中性子過剰核「30F」でも魔法数20の消失を確認

マイナビニュース / 2024年8月29日 18時49分

今回得られた30Fの質量の値より、中性子数が20に近いフッ素同位体について、中性子過剰核における魔法数20の破れが完全に確定したという。つまり、中性子魔法数20の消失は、陽子数8(酸素同位体)から9(フッ素同位体)に広がっていることが判明した。また中性子が1つ多い31Fでは、魔法数の消失によって角運動量の小さい状態が混じりやすくなり、特異状態「中性子ハロー」ができる可能性も示されたとする。さらに、この魔法数20の消失によって、2個の中性子がスピンゼロの対(クーパー対に対応)を作りながら、さまざまな軌道を往き来することが可能になり、超流動状態を作り出すことが示唆されたとした。

一方、中性子数16を超える酸素やフッ素の中性子過剰核の質量は、三中性子間力の効果に敏感であるため、こうした未知の核力成分に対して制限を与えることが期待されるという。三中性子間力は、観測で見つかっている重い中性子星の謎を理解する上で鍵となると考えられている。それと同時に、近年重要となっている原子核構造の第一原理計算に対して有力なベンチマークにもなるとする。こうした研究は、中性子過剰核の安定性(どこまで中性子の数を増やすことができるのか)、宇宙の元素合成過程(中性子捕獲反応による重い元素の合成など)、謎の高密度天体、中性子星の構造や中性子合体のメカニズムを解く鍵となる。こうしたことから、今回の研究成果は、学際領域である宇宙核物理分野にも大きなインパクトを与えるものである。

前回と今回の研究などにより、軽い酸素やフッ素ではどれだけ中性子をつけ加えられるのかがようやく明らかになってきたという。しかし、ネオンを超える元素を構成する原子核ではまったくわかっていない。今後の研究によって、より重い中性子過剰な同位体(中性子過剰核)の発見がさらに進むことが期待されるとしている。
(波留久泉)



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