ビジネス茶道・表千家茶道 講師の水上麻由子が聞く 第17回 アスリート陶芸家にして茶人、山田翔太氏が説く「みたて」の大切さ
マイナビニュース / 2024年9月11日 10時0分
"茶の湯"の所作や心得、教養を学び、また癒しを得ることで、ビジネスパーソンの心の落ち着きと人間力、直観力を高めるためのビジネス茶道の第一人者である水上麻由子。本連載では、水上が各界のキーパーソンを茶室に招き、仕事に対する姿勢・考え方について聞いていく。
第17回は、陶芸家でありながらも、「アスリート」「茶人」という多様な側面を持つ山田翔太氏にお話を伺った。山田氏はどのようにして現在の肩書きを持つに至ったか、そして何を伝えていきたいのか。その中心には「みたて」があるという。
○独学で“アスリート陶芸家”に
山田翔太氏は、これまでの陶芸家とは活動も経歴も異なる“アスリート陶芸家”だ。中学校でラグビーを始め、高校1年生でラグビー部のキャプテンに。大学でも4年間ラグビーにいそしむという生粋のラガーマンであり、26歳までラグビーを続け、その後もトライアスロン、トレイルラン、登山、ヨガなどさまざまなスポーツを行っている。
陶芸との出会いは高校時代。美術を担当していた先生がラガーマンで、ラグビーを通して親しくなり、陶芸も教えてくれたという。山田氏は「ラグビーをやっていなかったら、その先生がいなかったら陶芸やってないんですよ。本当に縁です」と学生時代を振り返る。
「自分自身、3次元的なものを作るのが得意だったと思います。でも高校時代は茶盌なんてぜんぜん作ってなくて、電動ろくろで何かを作った記憶がうっすらあるくらいです。そのまま大学に入って、4年間はラグビー部で学習院大学のグラウンドで土と戯れていました」
大学を卒業した山田氏は、社会人として企業で働きながら、仕事の合間にできる趣味として再び陶芸を始めた。とはいえだれかに師事するわけでもなく、自分なりの陶芸を続けていたという。そして5年後、帰京。窯を借りて陶芸を続け、29歳で本格的に陶芸家として活動を始めた。
「家に作品が貯まってきたから、個展という形で一回出そうと思ったのが陶芸家としてのデビューです。沢山あるから放出しないといけない、それをお世話になってきた人と友人にお披露目しよう、みたいな感じです。100点ほど出したんですけれど、でもそれが5時間くらいで全部売れちゃったんですね。そこで初めて陶芸家としてちゃんとやろうかなって思いました」
そんな矢先にコンタクトを受けたのが、遠州流茶道宗家13世家元の小堀宗翔氏だ。小堀氏はアスリート茶会などの新たな試みで注目を集めてる茶人であり、ここで山田氏と茶道の接点が生まれた。そして最初の個展からわずか半年後、銀座三越で“アスリート陶芸家”として展示を行うことになる。
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