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東北大など、ブラックホールの降着円盤の謎だった乱流の物理的性質を解明

マイナビニュース / 2024年8月30日 18時57分

渦のサイズが小さくなるにつれて、運動エネルギーと磁気エネルギーが当分配され、磁場と流れ場の区別がつかなくなる
慣性領域では遅い磁気音波が支配的であり、アルヴェーン波の約2倍のエネルギーを持っている

これらの発見は、降着円盤内では電子よりイオンの方が効率的に加熱されているという結果を導く。このことは、以前からの観測によって得られていた事実を説明できるという。

また、降着円盤と同様に電子とイオンからなる太陽風では、これまで人工衛星観測によって、運動エネルギーと磁気エネルギーが当分配された状態が観測されていた。つまりエネルギー当分配状態は、宇宙空間に存在する乱流に普遍的な性質であることが示唆されているとする一方、太陽風ではアルヴェーン波が支配的であることも観測されており、今回の研究による発見はそれと正反対であるため、降着円盤の乱流と太陽風の乱流の本質的な違いが解明されたとする。

なお、今回の研究成果は、2019年に撮影されたブラックホール・シャドウの観測データを理解する上で、重要な手がかりとなるとする。例えばブラックホールの回転速度を、これまでより高精度に決定できる可能性があるという。

また、高エネルギー宇宙線の生成メカニズムの解明にも貢献できるとする。降着円盤では、乱流状態の電磁場と荷電粒子が相互作用し、一部の粒子が極めて高エネルギーに加速される。このような高エネルギー粒子が、長年の謎である高エネルギー宇宙線の源になっている可能性があり、今回の成果を用いて慣性領域における粒子の運動を調べることで、詳細な加速メカニズムが明らかにされ、宇宙線起源の謎に迫ることができるとしているほか、今回の成果により、より多くのパラメータ設定でのシミュレーションを実施できるようになることから、観測データとの詳細な比較の進展が期待され、これによりブラックホール周辺の極限環境下における物理現象の理解がさらに深まり、宇宙物理学の発展が期待されるともしている。
(波留久泉)



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