筑波大や伊藤園など、抹茶が睡眠の質と社会的認知機能を改善することを確認
マイナビニュース / 2024年9月3日 21時7分
認知機能に関しては、認知症やMCIのスクリーニングなどに用いられる神経心理学的検査での得点で、抹茶群とプラセボ群の間に差は見られなかったという。しかし、「コグニトラックス検査」による認知機能の領域別の評価では、抹茶群はプラセボ群に比較して、表情認知テストで表される社会的認知、具体的には顔表情からの感情知覚の精度が有意に改善することが確認されたとする。また、睡眠の質について「ピッツバーグ睡眠質問票」を用いて評価が行われた結果、抹茶群でスコアが低下し、睡眠の質が向上する傾向が示されたとした。
今回の研究では、抹茶が新たに社会的認知機能(顔表情からの感情知覚)を改善する効果を有することが示された。この社会的認知は、「DSM-5」(米国精神医学会が発行する精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)にある認知症診断基準にある項目であり、高齢者の認知機能としてだけでなく、コミュニケーション能力や日常生活、さらには社会参加においても重要と考えられるとする。また、カフェインを含有する抹茶の摂取にもかかわらず、「睡眠の質」に悪影響がなく、むしろ改善傾向が見られた点も注目に値するという。睡眠の質の維持が認知機能の維持にもつながることが期待されるため、これらの知見は非常に重要であると考えるとした。
研究チームは今後、社会的認知機能の改善効果やそのメカニズムの解明、睡眠の質との関連性、その他の検査結果の解析を進め、高齢者にとって有益な活用方法の提案を目指すと同時に、高齢者のウェルビーイングな生活の実現に向けて研究を続けていくとする。抹茶をはじめとする緑茶は、日常的に摂取でき、多くの高齢者にとって身近な存在であることから、さらに研究を重ねることで、自治体やさまざまなコミュニティで行われている認知症予防プログラムなどに活用されることが期待されるとしている。
(波留久泉)
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